現代では減量のことを「ダイエット」と呼ぶことが多いのですが、正確には「減量」と「ダイエット」は意味が異なります。減量を辞書で引くと『分量(体重)が減ること、減らすこと』とあり、一方ダイエット(Diet)は『食餌療法、食事制限のこと』と書かれています。このように、本来は言葉の意味が違うのです。そして、本当に意味のあるダイエットを行うには、まず自分の「身体組成(体が何で構成されているか)」を正しく知ることが出発点になります。
肥満とは、体脂肪が過剰に蓄積された状態のことをいいます。肥満かどうかを判断する方法として、昔からブローカー指数、ローレル指数、カウプ指数などが用いられてきました。
このうちカウプ指数は、体脂肪率との相関が比較的高いことから、広く用いられるようになりました。現在、国際的に使われているBMI(Body Mass Index=体格指数)は、このカウプ指数(ケトレー指数)と同じもので、BMIといえばカウプ指数を指していると考えて差し支えありません。
BMI(カウプ指数)の求め方は、体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))です。日本肥満学会では、BMI18.5未満を「低体重(やせ)」、18.5〜25未満を「普通体重」、25以上を「肥満」と定義しています。
ただし、BMIには知っておくべき特性があります。BMIは身長と体重だけで計算するため、体の「大きさ・重さの程度」は把握できますが、その重さの中身が「筋肉」なのか「脂肪」なのかまでは区別できません。例えるなら、立方体の体積を『たて×横×高さ』で求められても、その中に何がどれだけ詰まっているかまでは分からない、というのと同じです。そのため、筋肉量の多いアスリートはBMIが高くても肥満ではありませんし、逆にBMIが標準でも体脂肪率が高い「隠れ肥満」の人もいます。
とはいえ、「BMIは根拠が乏しい」というわけではありません。BMIは1972年のKeysらの研究で体脂肪率とよく相関することが示され、その後も肥満度の指標として有効性が検証された、医学的に確立された指標です。世界中で肥満判定や健康管理に使われており、手軽に計算できる優れた目安です。ポイントは、BMIだけで判断せず、体脂肪率と組み合わせて見ること。BMIで全体の傾向をつかみ、体脂肪率で中身を確認する、という使い分けが、身体組成を正しく理解するコツです。減量が必要かどうかをより正確に判断するには、やはり体脂肪率の測定が欠かせません。
では、その体脂肪率はどのように測ればよいのでしょうか。今日、体脂肪率を測定する方法はさまざまあり、代表的なものに水中体重法(水中体重秤量法)、生体インピーダンス法、近赤外線法、皮下脂肪厚法(キャリパー法)などがあります。
このうち、最も正確に判定できるとされるのが水中体重法です。ただし、水中体重法は専用の設備が必要な大掛かりな方法で、研究機関などにしかなく、一般的ではありません(同様に高精度なDEXA法や空気置換法も、医療機関などでの測定が必要です)。
そこで、家庭でも簡易的に測定できる方法として広く普及しているのが生体インピーダンス法です。その仕組みは、体内に微弱な電流を流し、電気抵抗(電気の通りやすさ・通りにくさ)を測ることで脂肪量を推定するというものです。筋肉や骨など水分の多い組織は電気を通しやすく、脂肪はほとんど通さない、という性質を利用しています。現在、TANITA(タニタ)社製などの体脂肪計が広く普及しています。
ただし、この方法には弱点もあります。あくまで「推定」であるため、測定条件(とくに体内の水分量)によっては、かなり誤差が生じてしまうのです。使用する前には取扱説明書をよく読み、その機器の仕組みを理解しておくことが大切です。以下に、インピーダンス法の体脂肪計(タニタ社製など)を使うときの注意点と、判定基準を載せます。測定の参考にしてください。
体脂肪率は、毎回できるだけ同じ条件・同じ時間帯で測り、一回の数字に一喜一憂せず、数週間単位の「傾向」で見るのがおすすめです。
| 適正 | 軽度な肥満 | 肥満 | 極度の肥満 | |
| 男性 | 14〜23% | 25〜30% | 30〜35% | 35%以上 |
| 女性 | 17〜27% | 30〜35% | 35〜40% | 40%以上 |
表.インピーダンス法による体脂肪率の判定基準の一例(東京慈恵会医科大学のデータ)
※判定基準は機器メーカーや出典によって多少異なります。お使いの体脂肪計に付属の基準も併せて参考にしてください。
身体組成を正しく知ることが、意味のあるダイエットの第一歩です。BMI(=カウプ指数、体重÷身長²)は体脂肪率と相関する確立された指標ですが、筋肉と脂肪を区別できないため、体脂肪率と組み合わせて見るのがコツ。体脂肪率は水中体重法が最も正確ですが一般的でなく、家庭ではインピーダンス法が主流です。ただし水分量で誤差が出るので、同じ条件・同じ時間に測り、傾向で判断しましょう。
※本記事は一般的な健康・栄養情報です。肥満や減量について不安のある方、持病のある方は、医師や管理栄養士にご相談ください。