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結論から言うと、低インスリンダイエットは仕組みのうえでは理にかなったダイエット法で、一定の効果が期待できます。ただし、やり方を誤ると逆効果になることもあるため、仕組みと注意点を正しく理解することが大切です。順番に解説します。
そもそもインスリンとは、膵臓のランゲルハンス島のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値(血液中のブドウ糖濃度)を下げる重要な働きを持っています。一方で、インスリンには糖を脂肪に変えて蓄え、脂肪の分解を抑えるという働きもあります。インスリンは血糖(ブドウ糖)の上昇に応じて分泌されます。
つまり血糖値が急上昇すればインスリンも多く分泌され、結果、それだけ脂肪が蓄えられやすくなるわけです。
もし、このときインスリンの分泌を抑えることができたら、脂肪として蓄えられる量も少なくて済むことになるのです。
この血糖値とインスリンの性質を応用したのが低インスリンダイエットです。具体的な方法は、『血糖値が上がりにくい=GI値(グリセミック指数)の低い食品を選んで炭水化物を摂る』というものです。GI値とは、食べ物が体内でブドウ糖に変わり血糖値を上昇させるスピードを、ブドウ糖を100として相対的に数値化したものです。一般にGI値70以上が高GI、56〜69が中GI、55以下が低GIとされ、玄米やライ麦パン、そば、豆類などは低GIの代表です。白米・食パン・うどんなど精製された「白い炭水化物」は高GI寄りで、玄米や全粒粉など食物繊維が豊富な「黒い炭水化物」は低GI寄り、と覚えると選びやすくなります。
もともと低インスリンダイエットは、糖尿病の食事療法(血糖コントロール)として始まった考え方で、その点では医学的な裏付けのある方法です。それを応用したダイエット法と言えます。ただし、私はこの方法を実践するうえで、いくつか注意しておきたい点があると考えています。
① 極端な糖質制限による筋肉量の低下
低インスリンダイエットを「とにかく糖質を断つ」という極端な糖質制限と混同してしまうと、問題が起こり得ます。糖質(エネルギー源)が大きく不足した状態が続くと、体は不足分を補うために筋肉(たんぱく質)を分解してエネルギーに変えるようになります。筋肉量が減ると基礎代謝が落ち、かえって太りやすい体質になってしまう可能性があるのです。低インスリンダイエットは「糖質をゼロにする」方法ではなく、あくまで「血糖値を急上昇させない食品を選ぶ」方法だと理解することが大切です。
② 自己流の過度な制限による体調への影響
炭水化物を極端に減らすと、インスリンの分泌が抑えられる一方で、対になるホルモンであるグルカゴンの働きで脂肪が分解されやすくなります。これ自体はダイエットに有利な反応ですが、糖質を過度に制限する食事を自己流で長期間続けると、低血糖やふらつき、体調不良などを招くこともあります。持病のある方や薬を服用している方は特に注意が必要で、糖尿病などで治療中の方は必ず主治医に相談してから取り入れてください。
③ 満腹感を得にくく、食べ過ぎる可能性
人が満腹感を覚える要因のひとつに血糖値の上昇があります。低GI食品は血糖値の上がり方が緩やかなぶん、満腹感を感じるまでに時間がかかり、結果として食べ過ぎてしまう可能性があります。低GIだからと安心して量を摂りすぎては、総カロリーが増えて本末転倒です。よく噛んでゆっくり食べることで、食べ過ぎを防ぎやすくなります。
このように、低インスリンダイエットは生理学的に考えればそれなりの効果が期待できる方法です。しかし、低インスリンダイエットを実行したとしても、普段の食生活で高脂肪の食事を改めなかったり、早食いをしたり、運動をほとんどしなかったりすれば、効果は半減してしまいます。やはり低インスリンダイエットの前に、まずは生活習慣全体を一度見直し、そのうえで取り入れた方が良いでしょう。極端な制限に走らず、バランスのとれた食事の「質」を整える方法として活用するのがおすすめです。
過剰に摂取されたたんぱく質は、たとえ必須アミノ酸のバランスが良くても、使われなければエネルギー源や排泄物として処理されてしまいます。無駄になる量が少なければ問題ありませんが、それが多量になると体に負担がかかってきます。(トレーニングをほとんどしていないのにプロテインだけ多く摂っている人は、無駄になる量が多くなりやすいので注意が必要です)
身体に必要以上のたんぱく質が入ってくると、そのアミノ酸を代謝する過程でアンモニアが生じます。アンモニアは人体にとって有害なので、肝臓でこれを毒性の低い尿素に変えます。尿素はアンモニアよりはるかに毒性が少ないものの、代謝の老廃物であることに変わりはなく、体外へ排出しなければなりません。その尿素を血液から濾過し、尿として排泄するのが腎臓の仕事です。ですから、たんぱく質の摂りすぎは肝臓と腎臓に余分な負担をかけることになります。
また、尿素が増えると、それを尿として薄めて流し出すために多くの水分が必要となります。たんぱく質を多く摂取する人(ボディビルダーのように)が水分を多く摂らなければならないのは、このためです。水分が不足して老廃物の排泄がスムーズに行われないと、体内の尿酸が増えやすくなり、関節周囲の組織に尿酸の結晶がたまって炎症を起こすこともあります。これが痛風です。こうしたトラブルを避けるためにも、たんぱく質を多く摂るボディビルダーはこまめな水分補給を欠かさないのです。
プロテインはもともと「たんぱく質」という意味です。栄養補助食品であるプロテインパウダーは、本来、食事で足りない分を補うためのものです。食が細い方の場合、たんぱく質が不足している可能性は大いに考えられます。トレーニングをしない日でも、体は筋肉や組織の修復のためにたんぱく質を必要とするため、不足しがちなら補う意味はあります。
ただし、その不足分を全てプロテインで補うという考え方には、あまり賛成しません。あくまでも食事によるたんぱく質の摂取量を増やすよう心掛けた方が良いと思います。本来、食事で肉や魚、穀類などを摂り、それを分解・吸収することによって筋肉がつくられます。プロテインでダイレクトに摂ってそれだけで済ませるのは、栄養バランスの面でも不自然です。食事を基本に、それでも足りない場合にプロテインパウダーなどで補う、という順番が望ましいでしょう。
では、具体的にどれくらいのたんぱく質を摂取すればよいのでしょうか。一般成人の場合、目安として体重1kgあたり約1.0g前後(軽度の安全率などを見込んだ値)が一つの基準になります。例えば体重70kgの人であれば、1日あたりおよそ70〜75g程度が目安です。ただし、本格的な筋力トレーニングをしている人は、これより多め(体重1kgあたり1.2〜2.0g程度)が推奨されることもあります。自分の活動量に合わせて調整し、不安があれば管理栄養士などの専門家に相談すると安心です。
結論からいうと、極端な空腹時に強度の高い運動を行うのは避けた方が良いでしょう。たしかに、空腹時(体内のエネルギー源であるグリコーゲンが少ない状態)で運動を行うと、体内の脂肪が燃焼しやすいというのは事実です。しかし、空腹の状態で脂肪を燃焼させるような運動を長時間行うと、低血糖を起こしてふらつきや立ちくらみ、集中力の低下などを招くことがあり、安全面でおすすめできません。
軽いウォーキング程度であれば空腹時でも問題ないことが多いですが、しっかり運動するなら、運動の1〜2時間前にバナナやおにぎりなど消化の良い軽食を摂っておくと、安全にエネルギーを確保できます。体調と相談しながら、無理のない範囲で行いましょう。
その前に、少し自律神経についてお話しします。自律神経には交感神経と副交感神経があり、この二つは拮抗的に調整されています。普通、交感神経が優勢になると副交感神経の働きは弱くなります。(食事直後に激しい運動を行うと、消化と運動で自律神経のバランスが乱れ、気分が悪くなることがあります)
一般に日中は交感神経が優勢になりますが、夜間になると副交感神経が優勢になります。夜にあくびが出て眠くなるのは、副交感神経の働きが活発になるからです。このように夜間は、副交感神経系が優勢になり、日中に比べてエネルギー消費量が少なくなりやすい時間帯だといえます。
この時間帯に摂った余剰エネルギーは脂肪として蓄えられやすいので、もし21時以降に食事を摂るのであれば、消化が良いもの(スープや雑炊類、野菜など)や、低カロリーなものを選んだ方が良いでしょう。当然、消化の悪い揚げ物や味の濃いものは極力避けてください。さらに、就寝直前の食事は睡眠の質の低下にもつながるため、できれば寝る2〜3時間前までに食事を終えておくのが理想です。どうしても遅くなる場合は、夕方に軽く炭水化物を摂り、帰宅後はおかず中心にする「分食」も有効です。
低インスリンダイエットは、低GI食品を選んで血糖値の急上昇とインスリンの過剰分泌を抑える、仕組みのうえでは理にかなった方法です。もともと糖尿病の食事療法由来で、一定の効果が期待できます。ただし「糖質ゼロ」の極端な制限とは別物で、やりすぎは筋肉量の低下や体調不良を招くことも。低GIでも食べ過ぎれば太ります。生活習慣全体を整え、食事の「質」を見直す方法として、無理なく取り入れるのがおすすめです。持病のある方は必ず医師に相談しましょう。
※本記事は一般的な健康・栄養情報であり、診断・治療に代わるものではありません。持病のある方や治療中の方は、食事法を始める前に医師・管理栄養士にご相談ください。