健康的な減量法とは?運動と食事の組み合わせと正しいペースを解説

減量とは、単に体重を減らすことではなく、脂肪量を減らし、体組成(筋肉と脂肪の割合)を正常値に近づけることです。減量の理屈はとてもシンプルで、1日の消費カロリーが摂取カロリーを上回っていれば、徐々に体重は減少する——これが基本原理(カロリー収支)です。

適度な運動は、身体の余分な脂肪をエネルギーとして使い、じっとしていても消費される『基礎代謝量』を保つのに役立ち、太りにくい体づくりを助けてくれます。しかし、運動だけで減量を行うのは無理があります。

なぜなら、運動だけで消費できるカロリーは意外と少ないからです。例えばショートケーキ1個(約390kcal)を消費するには、テニスを数時間も続けなければならない計算になります。かといって、食事制限だけで減量しようとすると、体内のたんぱく質が不足して筋肉が細くなり、疲れやすくなってしまいます。さらに、血液中のたんぱく質(ヘモグロビンなど)も不足して、貧血をはじめとする様々な健康問題を引き起こすこともあります。

そして最も問題なのは、極端な食事制限で除脂肪体重(筋肉など)が減ると、『基礎代謝量』が下がり、かえって「以前より太りやすい体質」になってしまうことです。これがリバウンドの大きな原因です。したがって、『適度な運動で消費カロリーを増やす』『食事の見直しで摂取カロリーを適切に減らす』——この2つを組み合わせることが、最も合理的で健康的な減量法といえます。

適度な運動とは?

医師から『適度な運動をしたほうがよい』と言われた経験のある方も多いでしょう。では、この『適度な運動』とは、どのくらいのことなのでしょうか。

『適度な運動』(運動強度・時間・頻度)にはかなり個人差がありますが、強度の目安としては、ウォーキングやエアロバイクなどの有酸素運動を行う場合、『となりの人と会話ができるくらい』が良いとされています。息が弾みすぎず、楽に続けられる強度です。

もう少し数値的に求めたい場合は、『カルボーネン法』という計算式で目標心拍数を割り出す方法があります。一般の方なら50%前後、スポーツ愛好家なら60%くらい、高年齢・低体力の方は40%くらいから始めるとよいでしょう。

目標心拍数 =(最大心拍数 - 安静時心拍数)× 目標強度(%)+ 安静時心拍数
※最大心拍数 = 220 - 年齢

例えば、安静時心拍数が60拍の40歳の人が60%の強度で運動する場合、最大心拍数は 220-40=180拍。目標心拍数は(180-60)×0.6+60=132拍となります。

さらに、有酸素運動で効果を得るには、ある程度の時間、運動を継続することが大切です。その目安は、少なくとも20分以上とされています。アメリカスポーツ医学会(ACSM)のガイドラインでも、一般の方には1回20〜60分・週4回以上程度の運動がすすめられています。とはいえ、最初から長時間でなくても構いません。短い時間からでも、習慣として続けることが何より大切です。

健康的な減量のペース

減量で大切なのは「ペース」です。急いで落とそうとすると、かえって失敗します。健康的な減量ペースの目安は、1ヶ月に「現在の体重の5%以内」、または1〜2kg程度とされています(例えば体重60kgの方なら、1ヶ月に3kg以内が目安)。これを上回るハイペースで落とそうとすると、筋肉量の減少・基礎代謝の低下・栄養不足・リバウンドなど、様々な問題が起こりやすくなるので避けたほうが無難です。

ここで、減量の計算の基礎となる数字を押さえておきましょう。体脂肪1kgは、約7,200kcal(資料により約7,200〜7,700kcal)のエネルギーに相当します。これは、脂肪1gが約9kcalで、体脂肪組織の約8割が純粋な脂肪であることから計算されます(9kcal × 1000g × 0.8 ≒ 7,200kcal)。

【計算例】体脂肪1kgを減らすには約7,200kcalのマイナスが必要です。例えば1日あたり約240kcalのマイナス(運動で消費を増やす+食事で摂取を減らす)を作れば、計算上は約30日で体脂肪1kgの減量が可能、ということになります。ただし、実際には体は計算どおり単純には動かないので、あくまで目安と考えましょう。

楽に、早く、健康的に痩せる魔法のような方法はありません。減量には、太るのにかかった時間と同じか、それ以上の時間がかかると考えるべきでしょう。だからこそ、無理なく続けられるペースで、運動と食事をコントロールしていくことが、健康的な減量法の王道です。あわせて、筋肉を維持するために、たんぱく質をしっかり摂ることも意識しましょう。

なお、月に体重の5%を超えるような、より積極的な減量を行う場合は、必ず医師・管理栄養士などの栄養の専門家や、健康運動指導士などの運動の専門家の指導のもとで行ってください。自己流での急激な減量は危険です。

まとめ

健康的な減量法の基本は、カロリー収支(消費>摂取)。運動だけ・食事だけでは無理があり、両方の組み合わせが合理的です。運動は「会話ができる強度」で20分以上、カルボーネン法で目標心拍数を求めるのも有効。減量ペースは月に体重の5%以内(1〜2kg程度)が目安で、急激な減量は筋肉減少・基礎代謝低下・リバウンドのもと。たんぱく質を確保しつつ、無理なく続けることが成功の鍵です。

参考文献・出典

※本記事は一般的な健康・栄養情報です。持病のある方、より積極的な減量を行いたい方は、医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。

編集長