ウエイトトレーニングとは?オーバーロードの原則と目的別の負荷設定を解説

筋肉は、大きく3種類に分類されます。1つは胃や腸などをつくっている平滑筋(へいかつきん)、もう1つは心臓の壁をつくっている心筋(しんきん)、そして身体を動かす骨格筋(こっかくきん)です。一般に「筋肉」というと、この骨格筋を指します。ウエイトトレーニングで鍛えるのも、この骨格筋です。

筋力は成長期を通して高まり、20代でピークに達します。衰え方には個人差がありますが、一般に30代あたりから徐々に低下していきます。

同じ年代でも、普段から力仕事をしている人は筋力が衰えにくく、デスクワーク中心の人では低下しやすくなります。骨折してギプスで固定されると筋肉は急激に萎縮し、筋力も低下します。傷が治ってギプスを外す頃には、すっかり筋肉が細くなっているものです。しかし、その筋肉は、ウエイトトレーニングによって見違えるように鍛え上げることもできます。

ジョギングなどの有酸素運動(エアロビック・エクササイズ)を行うとき、運動強度や量を十分に考慮すべきことはよく知られています。同じことが、ウエイトトレーニングなどの無酸素運動(アネロビック・エクササイズ)にもあてはまります。

筋力を向上させるには、日常生活で体験する以上の負荷をかけてトレーニングを行う必要があります。ウエイトトレーニングとは、いわば『非日常的な運動負荷』を身体にかけて行う運動であり、日常生活と同じレベルの強度ではウエイトトレーニングとは呼べません。一般に、私たちが日常生活で発揮している筋力は、最大筋力(1RM)の20〜30%程度といわれます。そのため、筋力を養いたいなら、少なくとも最大筋力の40%以上の力を発揮する必要があります。この「日常以上の負荷をかける」という考え方をオーバーロード(過負荷)の原則といい、筋力を向上させるうえで非常に重要な原則です。

トレーニングと負荷の関係

ウエイトトレーニングの運動強度は、先に述べたとおり「重ければ重いほど効果がある」というものではありません。筋力・筋肥大(きんひだい)・パワー・筋持久力など、目的によって、運動強度・回数・セット数を変える必要があります。

その基準となるのが1RM(最大挙上重量=1回だけギリギリ挙げられる重さ)です。この1RMを100%として、目的に応じて「何%の負荷」を使うかを決めます。一般的な目安は次のとおりです。筋力強化なら最大筋力の80〜90%の負荷で5〜10回(さらに高強度では1〜5回)を3〜4セット、筋肥大なら60〜80%の負荷で10〜15回(一般に6〜12回程度)を3〜4セット、筋持久力なら30〜50%の負荷で20〜60回を3〜4セットが効果的とされています。(表1参照)

※「1セット」の数え方:1つの種目を10回反復したら、これを1セットと数えます。その後インターバル(休憩)をとり、再び同じ種目を10回反復したら、2セット行ったことになります。

目的 筋力アップ(最大筋力) 筋力強化 筋肥大 パワーアップ 筋持久力
最大筋力(%) 100〜90% 90〜80% 80〜60% 60〜30% 50〜30%
反復回数(回) 1〜3回 5〜10回 10〜15回 10〜20回 20〜60回
休憩時間(分) 3〜5分 2〜3分 1〜2分 3〜5分 1〜2分

※ただし、個人の体力・体質・トレーニング経験などを十分に考慮したうえで、目的に合わせて調整する必要があり、必ずしも単純に上表どおりとはいえません。フォームが乱れるほど重い負荷は、ケガのもとなので避けましょう。

なお近年では、筋肥大については「総負荷量(重量×回数×セット数)」が重要で、低負荷でも限界近くまで追い込めば、高負荷と同程度の筋肥大効果が得られる、という研究も報告されています。とはいえ実践では、筋力強化も同時に狙え、総負荷も稼ぎやすい「中〜高負荷(10回前後で限界がくる重さ)」が扱いやすく、効率的とされています。目的と自分のレベルに合わせて選びましょう。

軽く感じるようになったらウエイトの再設定を

ウエイトトレーニングを続けていくと、最初は重く感じた重量が、しだいに軽く感じるようになります。これは筋力が向上した証拠ですが、同じ負荷のまま続けていると、やがて『筋力の向上』は頭打ちになってしまいます。

一定の効果が出たら、ある段階で負荷を重くする(あるいは回数・セット数を増やす)などして、刺激を更新していかなければ、それ以上の向上は望めません。これを「漸進性(ぜんしんせい)の原則」といい、オーバーロードの原則と並ぶ大切な考え方です。負荷を上げる目安は、「設定した回数を余裕をもってこなせるようになったとき」。少しずつ段階的に負荷を高めていきましょう。

あわせて押さえておきたいのが、筋肉は休息中に回復・成長するということです。同じ部位は毎日ではなく、週2〜3回を目安にし、十分な休養と栄養(たんぱく質など)をとることも、トレーニング効果を高めるうえで欠かせません。なお、トレーニングをやめると効果は徐々に失われる(可逆性)ので、継続することが何より大切です。

まとめ

ウエイトトレーニングとは、日常以上の負荷(非日常的運動負荷)を骨格筋にかける運動です。効果を出すカギは、日常以上の負荷をかける「オーバーロードの原則」。負荷は重ければよいわけではなく、目的(筋力80〜90%×低回数/筋肥大60〜80%×中回数/筋持久力30〜50%×高回数)に応じて1RMを基準に設定します。軽く感じてきたら負荷を更新し、週2〜3回・十分な休養とともに継続することが大切です。

参考文献・出典

※本記事は一般的な運動情報です。持病のある方、関節などに不安のある方、高重量を扱う際は、医師や専門のトレーナーにご相談ください。

編集長