フィットネスショップや薬局などで「アミノ酸」という言葉を目にすることは多いと思います。しかし、アミノ酸を正しく理解している方は、それほど多くないのではないでしょうか。それでは、アミノ酸とはどのようなもので、体内ではどんな働きをしてくれるのでしょうか。
アミノ酸を体内に取り込むには、肉・牛乳・大豆など、たんぱく質を多く含む食品を摂取する必要があります。食品から摂ったたんぱく質は、体内で使われるために、一度アミノ酸に分解されます。
そして、分解されたアミノ酸は、再び各組織で結合し直され、筋肉・血液・毛髪などの材料になります。つまりアミノ酸は、私たちの体をつくる「最小の部品」ともいえる、とても重要な栄養素なのです。
アミノ酸は、たんぱく質を構成する最小単位(分子)です。このアミノ酸がいくつか結びついたものを『ペプチド』、多数(一般に約100個以上)結びついて立体構造をとったものを『プロテイン(たんぱく質)』と呼びます。
私たちの体のたんぱく質は約20種類のアミノ酸で構成されていますが、その中には体内で合成できるアミノ酸と、できないアミノ酸があります。体内で合成できないアミノ酸を『必須アミノ酸(ひっすアミノ酸)』、合成できるアミノ酸を『非必須アミノ酸』といいます。
必須アミノ酸は全部で9種類あり、イソロイシン・ロイシン・バリン・リジン・メチオニン・フェニルアラニン・スレオニン(トレオニン)・トリプトファン・ヒスチジンです。これらは体内で作れないため食事から摂る必要があり、このうち一つでも欠けると、体の機能を正常に保てなくなってしまいます。そうならないために、普段からバランスの良い食事を心がけることがとても大切です。
必須アミノ酸の中でも、とくに筋肉づくりで重要とされるのが『BCAA』です。BCAAは、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つを総称した呼び名で、日本語では『分岐鎖アミノ酸』と訳されます(枝分かれした分子構造をもつことが名前の由来です)。BCAAは筋たんぱく質の中に多く含まれ、運動時には筋肉のエネルギー源にもなる、筋肉づくりに欠かせないアミノ酸群です。
では、必須アミノ酸を多く含む食品を効率よく摂れているかは、どう判断すればよいのでしょうか。その指標となるのが『アミノ酸スコア』です。アミノ酸スコアは、食品に含まれる必須アミノ酸のバランスを数値で表したもので、これが高い(100に近い)ほど良質なたんぱく質といえます。アミノ酸スコアが高い食品には、牛乳・チーズ・ヨーグルトなどの乳製品や、肉・魚・卵・大豆などがあります。筋肉づくりを目的とする方は、これらをバランスよく摂ることが大切です。
必須アミノ酸
ここまで主に必須アミノ酸について述べてきましたが、それでは『非必須アミノ酸』は体に必要ないのでしょうか。いうまでもなく、必要です。「非必須」とは「体内で合成できる」という意味であって、「重要でない」という意味ではありません。
例えば、非必須アミノ酸の一つに“グルタミン”があります。グルタミンは、筋肉の分解を抑えたり、免疫機能を正常に保ったりする重要な働きを持ち、体内のアミノ酸の中でも多く存在します。ただし、激しい運動やストレスの多いときには消費量が増え、不足しがちになることもあります。グルタミンは調理の熱で変性しやすく、食事だけで十分に補うのが難しいため、グルタミンを強化したサプリメントを使うと効率よく摂取できます。
プロテイン、ペプチド、アミノ酸(サプリメント)など、筋肉の材料となるサプリメントは様々ありますが、最終的に体内でたんぱく質の材料になるという点では、得られる作用は基本的に同じです。
ただし、吸収のスピードには違いがあります。ペプチドやアミノ酸は、プロテインよりも分子が細かく、すでに分解が進んだ状態なので、体内への吸収が速く、即効性が高いといえます。一般に、食事で摂ったたんぱく質がアミノ酸に分解されて吸収されるまでには数時間かかるのに対し、アミノ酸のサプリメントは30分〜1時間程度で吸収されるといわれます。そのため、運動直後などの素早い補給には、アミノ酸やホエイ系が向いています。
とはいえ、一般の方や、ふつうにトレーニングを行う方が、必ずしも即効性を求める必要はありません。アミノ酸サプリメントは、プロテインに比べてコストが割高になりがちです。筋肉づくりで本当に大切なのは即効性ではなく、必要なたんぱく質の「絶対量」を毎日確保し続けることです。その意味では、一般の方や一般的なトレーニーであれば、コスト面でも続けやすいプロテインパウダーを基本にするだけで十分でしょう。アミノ酸は、目的(運動直後の補給など)に応じて、補助的に取り入れるのがおすすめです。
アミノ酸はたんぱく質を構成する最小単位で、体内で作れない「必須アミノ酸」9種と、作れる「非必須アミノ酸」に分かれます。筋肉づくりにはBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)が重要。食品のたんぱく質の質は「アミノ酸スコア」で判断でき、乳製品・肉・魚・卵・大豆が良質です。アミノ酸サプリは吸収が速い利点がありますが割高。一般の方は、絶対量を確保しやすいプロテインを基本にするので十分です。
※本記事は一般的な栄養情報です。持病のある方やサプリメントの利用に不安のある方は、医師や管理栄養士にご相談ください。