足のむくみや怠さはどうして起こるの?原因と解消法をわかりやすく解説

むくみ(浮腫)とは、血液中の水分(体液)が血管の外、すなわち細胞と細胞の間(細胞間質)に過剰に溜まった状態をいいます。むくみは大きく『全身性浮腫』と『局所性浮腫』に分けられます。

全身性浮腫は、主に『心臓の病気』『腎臓の病気』『肝臓の病気』『甲状腺などの内分泌の異常』のほか、低栄養(低アルブミン血症)などが原因で起こります。一方、局所性浮腫は、『血液循環』や『リンパ循環』の働きが悪くなることで起こります。

今回は、主に後者の『局所性浮腫』、とくに足のむくみについて取り上げます。原因をお話しする前に、まず血液循環の仕組みを簡単に説明します。

※はじめに大切な注意点です。むくみは、放っておいてよいものから、命に関わる病気のサインまで、原因は様々です。とくに、片足だけが急にむくむ・痛む場合や、息切れを伴う場合、むくみが続く場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

局所性のむくみと血液循環器系の関係について

心臓から動脈へ送り出された血液は、末梢の毛細血管で細胞に酸素や栄養素を供給します。その後、血液は二酸化炭素や老廃物を受け取り、静脈やリンパ管を経て、再び心臓へと戻っていきます。これを『血液循環』といいます。心臓→動脈→毛細血管→静脈・リンパ管→心臓という全身をめぐる一連の循環を、大循環(体循環)と呼びます。

通常、この循環は一定のリズムで保たれていますが、何らかの問題があると、血液(とくに足から心臓へ戻る流れ)がうまくいかなくなることがあります。足のむくみに関わる原因は、大きく次の3つが考えられます。

  1. 血液を送り出すポンプである心臓の筋力(ポンプ作用)の低下
  2. ミルキングアクション(ふくらはぎの筋ポンプ作用)の機能低下
  3. 静脈弁の機能不全

1. 心臓のポンプ作用の低下
心臓の筋肉(心筋)の働きが低下すると、血液を送り出すポンプ作用が弱まり、血流が悪くなります。すると、重力の影響を受けやすい下腿(ふくらはぎから下)に、血液をはじめとする体液が溜まりやすくなります。

2. ミルキングアクション(筋ポンプ作用)の機能低下
ふくらはぎの筋肉は、血管の周りで「収縮」と「弛緩」を繰り返すことで、足に溜まった血液を重力に逆らって心臓の方へ押し戻しています。この働きは、ちょうど牛の乳しぼりに似ていることから『ミルキングアクション』と呼ばれ、ふくらはぎが「第二の心臓」と呼ばれるゆえんです。デスクワークなどで足をあまり動かさない状態が続いたり、運動不足で下腿の筋力そのものが衰えたりすると、この筋ポンプ作用が低下し、足がむくみやすくなります。女性は男性より筋肉量が少ないため、むくみやすい傾向があります。

3. 静脈弁の機能不全
静脈の中には「静脈弁」という弁があり、これが正常に働くことで、心臓へ向かう血液の逆流を防いでいます。

1と2の機能が低下すると足がむくみやすくなりますが、さらに3(静脈弁の機能不全)を併発すると、単なるむくみにとどまらず、血液が逆流・うっ血を起こし、やがて下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)ができてしまうことがあります。

下肢静脈瘤とは、静脈弁が正常に働かなくなり、血液が逆流・うっ血して足の血液循環が悪くなる病気です。弁が壊れると血液が行き場を失って静脈内に滞り、やがて静脈が太くなって、蛇のようにクネクネと浮き出るようになります。悪化すると、足が重い・だるい、こむら返り(足がつる)、むずむずするといった症状が頻発し、さらに進むと色素沈着や皮膚炎、皮膚の潰瘍などを起こすこともあります。

では、なぜ静脈弁がうまく働かなくなるのでしょうか。長年の立ち仕事・出産・加齢・遺伝的要因などが関わるとされますが、はっきりした原因は完全には解明されていません。下肢静脈瘤になりやすいのは、一般に次のような方とされています。

  1. 出産経験のある女性(とくに30歳以上)
  2. 立ち仕事に従事する人
  3. 運動不足の人
  4. 血縁者に下肢静脈瘤のある人
  5. 妊娠中の人
  6. 肥満の人

静脈弁の機能不全を自分で治すことはできません。下肢静脈瘤は、進行すると弾性ストッキングによる圧迫療法や、場合によっては手術(血管内治療など)が必要になることもあります。いずれにせよ、足のむくみや静脈瘤は、ひどくなる前に血管外科などの専門医に相談するのが賢明です。

足のむくみと怠さの解消法

上記のうち、『心臓のポンプ作用の低下』や『ミルキングアクションの機能低下』による軽いむくみは、生活習慣の工夫である程度和らげることができます(ただし、病気が原因のむくみは別なので、症状が続く場合は受診してください)。足がうっ血しないよう、次の点に気をつけましょう。

  1. 長時間、じっと立ち続けたり座り続けたりしない。
  2. 適度な運動を心がける。
  3. 太りすぎない。
  4. 寝るときは足を少し高くする。

1について:もし、長時間イスに座らなければならないなら、ときどき足首を連続して底屈・背屈(つま先を下げ下げ・上げ上げ)させると良いでしょう。これを『ジグリング』といい、足のむくみの解消や、エコノミークラス症候群(正しくは深部静脈血栓症/急性肺血栓塞栓症)の予防にとても良いとされています。ジグリングについてはこちらのページで詳しく述べていますので、参照してください。見た目は「貧乏ゆすり」のようであまり良くありませんが、とても有効な方法です。

2について:血液循環を促すには、日頃からウォーキングなどの有酸素運動を行うのが効果的です。もちろん、下腿の筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)を鍛えること、かかとの上げ下げ運動やふくらはぎのストレッチも、筋ポンプ作用を高めるのに役立ちます。

4について:寝るときに膝裏やふくらはぎの下に枕などを入れ、足を心臓より少し高くすると、下腿に溜まった血液や水分が心臓へ戻りやすくなります。このほか、医療用の弾性ストッキング(着圧ソックス)を使う方法もありますが、合わない使い方をすると逆効果になることもあるため、とくに持病のある方は医師に相談のうえ使用してください。

繰り返しになりますが、これらはあくまで軽いむくみへのセルフケアです。片足だけのむくみ・痛み、急なむくみ、息切れを伴うむくみ、なかなか引かないむくみなどがある場合は、重い病気が隠れていることもあるため、早めに医療機関を受診してください。

まとめ

足のむくみや怠さは、心臓のポンプ作用やふくらはぎの筋ポンプ作用(ミルキングアクション)の低下、静脈弁の機能不全などで、足に血液・水分が溜まることで起こります。進行すると下肢静脈瘤につながることも。立ち仕事・座り仕事ではジグリングやかかと上げ下げを、日頃は有酸素運動やふくらはぎの強化を、就寝時は足を高くを心がけましょう。片足だけ・急な・続くむくみは病気のサインのこともあるので、早めに受診を。

参考文献・出典

  • お茶の水血管外科クリニック「足の静脈の機能と役割」(ふくらはぎ=第二の心臓・筋ポンプ作用=ミルキングアクション・静脈弁)https://www.kekkangeka.com/blog/1283/
  • あさくさ橋心臓と血管のクリニック「足のむくみ(浮腫)の原因」(むくみのメカニズム・全身/局所の原因・受診の重要性)https://www.acvc.jp/swollen_feet/
  • アキ循環器・血管外科クリニック「下肢静脈瘤とむくみ」(両足/片足での原因の違い・エコノミークラス症候群)https://www.aki-cv.com/kashi_mukumi/

※本記事は一般的な医療情報であり、診断・治療に代わるものではありません。片足だけのむくみや痛み、急なむくみ、息切れを伴う場合、長引くむくみがある場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

編集長