「プロテイン」と「サプリメント」の意味を混同している方がとても多いのですが、この2つはまったく異なる意味を持ちます。プロテインは英語で、日本語では『たんぱく質』と訳され、サプリメントは『栄養補助食品』と訳されます。
また、「プロテイン=粉末状のサプリメント」と思っている方も多いようですが、これも正確ではありません。前述のとおり、プロテインはもともと『たんぱく質』という意味だからです。
粉末状のプロテインは、栄養補助食品としてのたんぱく質の一つの形にすぎません。肉・魚・大豆・卵などに含まれるたんぱく質(プロテイン)も、同じく「たんぱく質」の一つの形です。
※ここからは混乱を避けるため、あえて、肉や魚に含まれるたんぱく質をたんぱく質、サプリメント(粉末)のたんぱく質をプロテインと表現することにします。
たんぱく質は、体内で主に筋肉の材料になりますが、それだけではありません。髪の毛・爪・皮膚・血液・ホルモン・酵素などの材料にもなる、生命維持に欠かせない栄養素です。これらの組織を正常に保つために、たんぱく質は必ず摂取しなければなりません。
最近、『筋肉がやせ衰えてきた』『髪や肌が傷んできた』『貧血気味でめまいがする』といった不調に悩まされている方は、一度、たんぱく質の摂取不足を疑ってみてもよいかもしれません。たんぱく質が不足すると、体は不足分を補うために自分の筋肉(骨格筋)を分解し始めてしまいます。とくに菜食を徹底している方では、たんぱく質が不足しやすい傾向があるので注意が必要です(大豆など植物性たんぱく質を意識して摂ることが大切です)。また、菜食でない方でも、普段の食事で必要量を十分に補えていないことは珍しくありません。
たんぱく質は、肉・魚・卵・大豆などの食品から摂るのが基本ですが、それで足りない分を補うのがプロテインです。プロテインは、その成分と割合によって、大きく3種類に分けられます。
1. たんぱく質メインタイプ
たんぱく質の含有量が80%を超えるプロテインです。筋力アップやビルドアップ(増量・筋肥大)を目指す方は、たんぱく質の必要量が多くなるので、このタイプが向いています。
2. 糖質メインタイプ
たんぱく質よりも糖質の割合が高いプロテインです(ウェイトゲイナーなどと呼ばれます)。食が細い方や、とにかく体重を増やしたい方に向いています。
3. 中間タイプ
たんぱく質と糖質の割合がほぼ半々のプロテインです。トレーニングを始めて間もない方や、ご年配の方・お子さんにも取り入れやすいタイプです。
多くのプロテインに共通する特徴として、『グルタミン』というアミノ酸が含まれている点が挙げられます。グルタミンは、筋肉の分解を抑えたり、免疫機能に関わったりする非必須アミノ酸で、骨格筋に多く貯蔵されているアミノ酸の一つです。グルタミンが不足すると、筋肉が萎縮しやすくなったり、体調を崩しやすくなったりするといわれます。グルタミンは普段の食事からも摂れますが、調理の熱で変性しやすいため、食事だけで十分に補うのは難しい面があります。その点でも、栄養補助食品としてプロテインを活用する意義があるといえるでしょう。
もう一つの共通の利点が、脂肪の含有量が少ないことです。食品からたんぱく質を摂ろうとすると、同時に脂肪も多く摂ってしまいがちです。例えばバラ肉は典型で、たんぱく質よりも脂肪の割合が高く、筋肉をつけるどころかかえって太ってしまうこともあります。その点、プロテインは、たんぱく質をしっかり摂りながら脂肪の摂取を抑えられるのが利点です。
プロテインは、牛乳・大豆・小麦・卵などが主な原材料です。一昔前は大豆(ソイ)プロテインが主流でしたが、現在は牛乳由来の乳性プロテインが主流になっています。
この乳性プロテインは、さらに『ホエイ』と『カゼイン』の2種類に分けられます。ヨーグルトの上澄み液(乳清)にあたる部分が『ホエイ』、その下に沈殿しているのが『カゼイン』です。一般に、牛乳のたんぱく質のうち約20%がホエイ、約80%がカゼインとされます。
このうち、とくに注目されているのが『ホエイプロテイン』です。ホエイが注目される理由は、カゼインに比べてBCAA(Branched Chain Amino Acids=分岐鎖アミノ酸)を多く含み、かつ消化吸収のスピードが速いためです。この性質から、ホエイは運動後の素早いたんぱく質補給に向いています。一方、カゼインはゆっくり吸収されるため就寝前の補給に、ソイ(大豆)は植物性で乳製品が苦手な方に、といったように、目的や体質に合わせて選ぶのがおすすめです。
※BCAA(分岐鎖アミノ酸)は、エネルギー代謝や筋たんぱくの合成などに関わる必須アミノ酸で、バリン・ロイシン・イソロイシンの3つを総称した呼び名です。体内では合成できないため、食事から摂る必要があります。
1日に必要なたんぱく質量は、どのくらいでしょうか。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、18〜64歳のたんぱく質の推奨量は、男性で1日65g、女性で1日50gとされています。体重を基準にすると、おおよそ体重1kgあたり約1gが目安です(例:体重60kgなら約60g)。
ただし、これは運動習慣のない人の目安です。運動量が多い人や、筋肥大(ビルドアップ)を目指す人は、これより多く必要になります。研究では、筋肉をつけ・維持するには体重1kgあたり1.6〜2.0g程度が一つの目安とされています(例:体重60kgなら約96〜120g)。自分の体格・活動量・目的に合わせて調整しましょう。
もし、これだけのたんぱく質を毎日の食事だけで摂りきれない場合に、その不足分を補うのがプロテインです。なお、1回の食事で吸収・利用できるたんぱく質量には限りがあるとされるため、一度に大量に摂るより、3食やトレーニング後などに分けて摂るのが効率的です。
ここで大切な注意点があります。「たんぱく質をすべてプロテインで補おう」と考えるのは好ましくありません。食べ物を摂取し、それをたんぱく質・アミノ酸に分解し、再びたんぱく質に組み立て直す——という過程こそが、生物本来のあるべき栄養摂取の形だからです。サプリメントはあくまで「栄養補助食品」であり、主役は毎日の食事だということを忘れないようにしましょう。また、腎臓に持病のある方などは、たんぱく質の過剰摂取が負担になることもあるため、摂取量について不安がある場合は医師や管理栄養士に相談すると安心です。
プロテインは「たんぱく質」、サプリメントは「栄養補助食品」で意味が異なります。たんぱく質は筋肉・髪・爪・血液などの材料で、不足すると様々な不調の原因に。プロテインにはホエイ(吸収が速くBCAA豊富)・カゼイン(ゆっくり吸収)・ソイ(植物性)があり目的で選びます。必要量は食事摂取基準で男性65g・女性50g(運動者は体重×1.6〜2g)が目安。あくまで食事が基本で、不足分をプロテインで補いましょう。
※本記事は一般的な栄養情報です。腎臓などに持病のある方、たんぱく質の摂取量に不安のある方は、医師や管理栄養士にご相談ください。