【Q&A】エアロビクスでタバコの害は軽減できる?喫煙と運動の関係を解説

Q.エアロビック系エクササイズを行うことでタバコの害は軽減できるものなんですか?

残念ながら、有酸素運動(エアロビック系エクササイズ)を行っても、タバコそのものの害が打ち消されることはありません。タバコに含まれる有害物質としてよく知られる『ニコチン』『タール』、そして『一酸化炭素』による害は、運動によって軽減されるものではないのです。

タバコに含まれる有害物質としてよく知られている『ニコチン』『タール』は、運動によってその害が軽減されることはありません。
とくに、運動の直前・直後(運動を行っている最中はもってのほかです)の喫煙は心臓の負担を増やすので、やめるべきです。

むしろ、喫煙は運動の効果を妨げる方向に働きます。その代表的な理由が一酸化炭素です。私たちは血液中のヘモグロビンに酸素を結びつけて全身に運んでいますが、ヘモグロビンは酸素よりも一酸化炭素と圧倒的に結合しやすい性質があります。タバコを吸うと、ヘモグロビンが一酸化炭素と結びついてしまい、その分だけ酸素を運ぶ能力が落ちてしまうのです。さらにニコチンには血管を収縮させ、心拍数や血圧を上げる作用があります。これらにより、喫煙者は持久力が低下しやすく、せっかくの有酸素運動の効果も得にくくなります。

とくに注意したいのが、運動の直前・直後の喫煙です。運動中や運動前後は心臓が活発に働いている状態で、そこに喫煙が加わると、血管収縮と相まって心臓への負担が大きく増します。運動中の喫煙はもってのほかですし、運動の前後も避けるべきです。健康のために運動するのであれば、この機会に禁煙を検討するのが、最も効果的な「害の軽減」と言えるでしょう。禁煙が難しい場合は、禁煙外来などの専門的なサポートを利用するのも一つの方法です。

Q.一般道路を走るのとランニングマシーンで走るのとでは消費カロリーに差があるのではないでしょうか?

はい、同じ速度・時間でも、消費カロリーには差が出ます。一般的に、平坦な屋外(一般道路)を走る場合は、ランニングマシン(トレッドミル)で2〜3%程度の勾配(傾斜)をつけたときと、ほぼ同程度のカロリー消費になるといわれています。

これは主に2つの理由によります。1つは、トレッドミルでは地面(ベルト)の方が動いてくれるため、自分の体を前へ運ぶ力(推進力)があまり要らず、その分だけ運動が楽になること。もう1つは、屋外では空気抵抗を受けながら進むのに対し、室内のトレッドミルではそれがほとんどないことです。つまり、トレッドミルで屋外ランと同じくらいの運動量にしたい場合は、少し傾斜(2〜3%程度)をつけると、より近い負荷になります。とはいえ、トレッドミルは天候に左右されず、膝や腰への着地衝撃をコントロールしやすいという利点もあります。目的に応じて使い分けると良いでしょう。

Q.血圧が高いのですが、主治医から『軽い運動ならやってもいい』といわれているので、トレーニングを行っても問題はないですか?

主治医から軽い運動の許可が出ているのであれば、その範囲内で行うこと自体は問題ありません。ただし、「許可が出ている=どんな日でも運動してよい」というわけではない点に注意が必要です。

ACSM(アメリカスポーツ医学会)のガイドラインでは、医師の許可がある場合でも、運動開始時点で安静時心拍数が高すぎる(おおむね100拍/分以上)、呼吸数が多すぎる、血圧が著しく高い(収縮期200/拡張期120mmHg以上が一つの目安)といった状態のときは、その日の運動を行うべきではないとされています。つまり、運動前に体調や血圧を確認し、数値が高い日や体調が優れない日は、無理をせず身体を休ませることが大切です。

また、高血圧の方は、息を止めて力むトレーニング(重い負荷の筋トレなど)は血圧を急上昇させるため避け、ウォーキングや軽いエルゴメーターなど、リズミカルな有酸素運動を中心にするのが安全です。運動中に頭痛・胸の痛み・強い動悸・めまいなどを感じたら、すぐに中止してください。自分の数値の基準や運動内容については、必ず主治医とよく相談しながら進めましょう。

Q.ジョギングをするとわき腹が痛くなるのに、エアロバイクでは痛くならないのはなぜですか?

運動中にわき腹が痛くなる現象は、俗に「サイドステッチ」と呼ばれます。ジョギングで起こりやすく、エアロバイクで起こりにくいのには、運動の特性の違いが関係しています。

エアロバイクは、腰をサドルに乗せて行うため、ジョギングに比べて重心の上下動(体の上下の揺れ)が少なくて済みます。ジョギングでは、一歩ごとに着地の衝撃と上下動が繰り返され、内臓が揺さぶられたり、横隔膜やその周辺に負担がかかったりします。これが、わき腹の痛みの一因と考えられています。さらに、上下動が少ないと腸内のガスの移動による刺激も起こりにくく、呼吸のリズムも乱れにくいため、エアロバイクではわき腹が痛くなりにくいといわれています。ジョギングでわき腹の痛みを防ぐには、運動前の食事を控えめにする、しっかりウォームアップする、呼吸を整えてペースを上げすぎない、といった工夫が有効です。

Q.エアロバイク、ランニングマシーンなどはどれが効果的なのですか?

まず、エアロビクス(エアロビックエクササイズ)とは有酸素運動のことです。ある運動が「有酸素運動」と呼ばれるためには、次の3つの条件を満たしている必要があります。『主に大きい筋肉を使うこと』『リズミカルに行われること』『持続的に行われること』の3つです。

大きな筋肉(脚やお尻など)を使うことで多くの酸素を消費でき、リズミカルに行うことで血流が盛んになり、持続的に(目安として20分以上)行うことで、全身持久力を高めるのに必要な刺激を呼吸循環器系や筋肉に与えられます。その点、エアロバイクもランニングマシンも、これらの条件を満たしているので、どちらも有酸素運動として有効であり、一概にどちらが優れているとは言えません。

選ぶ際のポイントは「目的」と「体への負担」です。消費カロリーを重視するなら、全身を使うランニングは効率的ですが、膝や腰への着地衝撃が大きいというデメリットがあります。一方、エアロバイクは座って行うため下半身の関節への負担が少なく、体重が気になる方、膝や腰に不安がある方、運動初心者の方でも続けやすいのが利点です。関節などの障害面を考慮するなら、負担の大きいランニングは避け、エアロバイクのような負担の少ない種目を選ぶと良いでしょう。最終的には、無理なく長く続けられる種目こそが、あなたにとって最も効果的な有酸素運動です。

まとめ

有酸素運動をしても、タバコ(ニコチン・タール・一酸化炭素)の害は軽減されません。むしろ喫煙は酸素運搬を妨げ、運動効果を下げ、運動前後の喫煙は心臓の負担を増やします。健康のための運動なら禁煙が一番。あわせて、屋外ランはトレッドミル2〜3%勾配相当の負荷であること、高血圧の人は数値の高い日は休むこと、関節への負担が少ないエアロバイクは続けやすいことも押さえ、無理なく続けられる運動を選びましょう。

参考文献・出典

※本記事は一般的な健康・運動情報です。高血圧などの持病がある方は、運動の可否や内容について必ず主治医にご相談ください。

編集長