【Q&A】スタティックストレッチの秘訣とは?効果を高める正しいやり方を解説

Q.ストレッチ(スタティック)を行うときの秘訣を教えてください。

スタティックストレッチ(静的ストレッチ)は、反動をつけずに筋肉をゆっくり伸ばし、その状態を一定時間キープして柔軟性を高める方法です。最も安全で、ストレッチの基本となるやり方ですが、効果を引き出すにはいくつかの秘訣(コツ)があります。

ストレッチを行う上でいくつか考慮しなければならない点があります。
以下に、効果を高めるためのポイントをまとめます。

① 反動をつけずに行うこと
静かにゆっくりと、スタティック(Static:静的)に行います。筋肉や腱に程よい伸びを感じたところで動作を止め、その姿勢を保持します。保持時間は20〜30秒程度が一つの目安とされます。反動(はずみ)をつけると、筋肉が反射的に縮もうとして逆効果になるばかりか、ケガの原因にもなります。

② 段階的に行うこと
いきなり強く伸ばすのではなく、段階的に強度を高めていきます。まず20〜30秒ほど伸ばしたら一度ゆるめ、次に少しだけ深く、さらにもう一段深く、という具合に進めると、筋肉が伸びに慣れていきます。最初から強い負担をかけると、かえって筋肉や腱を痛めることがあります。

③ オーバーストレッチングをしないこと
ある程度の伸びを感じるまで伸ばさないとストレッチ効果は得られませんが、痛みを我慢して無理に伸ばすのは禁物です。これを『オーバーストレッチング(過伸展)』と呼び、逆効果であるばかりか、筋肉や腱を傷めてしまいます。「痛気持ちいい」手前くらいの、強すぎず弱すぎない加減で行うのが大切です。

④ 自分のペースで行うこと
身体の柔軟性には個人差があり、同じ人でも日によって、また部位によって柔らかさは異なります。同じ関節でも、伸ばしやすい方向とそうでない方向があります。だからこそ、他人と競ったり、「前回はここまでできた」「左がここまでいったから右も」と自分自身と競ったりしてはいけません。常にその時々の体の状態に合わせて、適度に無理なく行うことが、効果を上げる秘訣です。

このほか、体を温めてから行うこと(入浴後や軽い運動のあとは筋肉が伸びやすい)、伸ばしている部位を意識すること、そして呼吸を止めないことも大切です。ストレッチはリラックスして行うのが基本で、呼吸を止めたり歯を食いしばったりせず、ゆっくり息を吐きながら、自然に呼吸できる範囲で伸ばしてください。

最後に一つ、知っておくと役立つポイントがあります。近年の研究では、運動の直前に静的ストレッチを長く行うと、一時的に筋力や瞬発力が低下することが分かってきました。そのため、運動前のウォームアップには体を動かしながら伸ばす「動的ストレッチ」、運動後のクールダウンや柔軟性アップには「静的ストレッチ」、と使い分けるのがおすすめです。

Q.メインセットに続く補助種目のセット法はどう選択するのが妥当でしょうか?

メインセットでピラミッド法や逆ピラミッド法などを使っている場合、それに続く補助種目は、まずはシングルセット法で問題ありません。シングルセット法(単にセット法とも呼ばれます)とは、特定の重さで決められた反復回数を行い、それを3〜4セット繰り返す、最もシンプルでオーソドックスな方法です。補助種目はメイン種目の「補い」なので、凝った方法を使うより、まず基本に忠実に行うのが無難です。

もし、シングルセット法で効果が頭打ちになってきたと感じたら、スーパーセット法(拮抗する筋肉の種目を連続して行う)、トライセット法(同じ筋群の3種目を連続)、ジャイアントセット法(4種目以上を連続)などを試してみると良いでしょう。新しい刺激が停滞期の打破につながることがあります。

トレーニングのやり方(プリンシプル)は数十種類以上も存在します。なぜこれほど多いかというと、すべての人に通用する唯一無二の方法が存在しないからです。ある人がある方法で絶大な効果を得られても、別の人が同じ方法で全く効果が出ない、ということは珍しくありません。だからこそ、実際にいろいろ試して、自分に合った方法を見つけていくことが大切です。ただし、複雑な方法ほど疲労も大きくなるため、回復が追いつく範囲で取り入れましょう。

Q.腸腰筋を鍛える種目を教えていただきたいのですが。

腸腰筋(腸骨筋・大腰筋の総称)は、股関節を曲げる(脚を持ち上げる)動きや、姿勢の安定に関わる重要なインナーマッスルです。ここが衰えると、つまずきやすくなったり、姿勢が崩れたりします。鍛える種目はさまざまありますが、今回は3種目を紹介します。いずれも反動を使わず、腸腰筋(脚の付け根の奥)を意識してゆっくり行うのがポイントです。

レッグレイズ
床にあお向けになり、両手をお尻の下あたりに置いて体を安定させます。両膝を軽く曲げた状態で、両脚をゆっくり持ち上げ、体と脚の角度が90°になるまで上げます。そのあと、ゆっくりと元に戻します。これを繰り返します。腰が反らないよう、お腹に軽く力を入れて行いましょう。

ヒップフレクサー(マシン)
マシンのパッドが膝の少し上にくるようアームを調整します。このとき、マシンの回転軸が股関節(大腿骨の大転子付近)と合うように立ち位置を決めます。腿上げのように膝を十分高く引き上げ、しっかり引きつけたら、ゆっくり元の位置に戻します。

ニートゥチェスト
長座位(脚を前に投げ出して座る)の姿勢から、膝を曲げながら太ももを胸に引き付けます。そのあと膝を元に戻します。動作中は足を床から離したまま行うのがポイントです。これを繰り返します。バランスがとりにくい場合は、手を体の後ろについて支えても構いません。

Q.握力を鍛えたいのですがどうすれば良いのでしょうか?

握力を鍛えるには、握力に関わる筋肉そのものを鍛えるのが基本です。握力に関与するのは、主として前腕(橈側手根屈筋、尺側手根屈筋など)と手(浅指屈筋、母指内転筋など)の屈筋群です。握力とは、これら屈筋群が等尺性(アイソメトリック)に発揮する力のことを指します。

では具体的にどう鍛えるかというと、「握る」という動作に近い動きでトレーニングするのが効率的です。握力というとリストカールやリバースカールを思い浮かべる人が多く、たしかにそれらでも前腕はある程度鍛えられますが、「握る」動作そのものを行わないと握力は効率よく高まりません(これを特異性の原則といいます。鍛えたい動きに近い動作で鍛える、という原則です)。

手軽なのは、スポーツ用品店などで購入できるハンドグリッパーを使う方法です。ウエイトトレーニングの一環として取り入れると良いでしょう。ただし一つ注意点があります。普通の筋トレと同じく、漸進性の原則(少しずつ負荷を上げる)に沿って行う必要があります。つまり、握力が向上してくると今の強度では物足りなくなるので、グリッパー1個では足りません。自分の握力に合わせて、より強度の高いグリッパーに段階的に買い替えていくと、着実に握力を伸ばせます。手や手首に痛みが出たときは無理をせず休みましょう。

Q.フォーストレップスってなんですか?

「フォースト(forced)」は『強制的な』、「レップス(reps)」は『反復回数』という意味です。フォーストレップスとは、トレーニング実施者が「もうこれ以上自力では挙げられない」というところまで挙上動作を繰り返したあと、トレーニングパートナーなどの補助者に少し力を貸してもらいながら、さらに数回(数レップ)動作を続ける方法です。限界を超えて筋肉を追い込むことで、より強い刺激を与え、高いトレーニング効果が期待できます。

ただし、フォーストレップスは負荷が非常に高いテクニックです。多用すると回復が追いつかず、オーバートレーニングに陥りやすくなります。実施する際は頻度を抑え、十分な休養・栄養とセットで行いましょう。また、補助者がいないと危険なので、必ず信頼できるパートナーのもとで行ってください。初心者のうちは、まず正しいフォームと基本の積み重ねを優先するのがおすすめです。

まとめ

スタティックストレッチの秘訣は、反動をつけず20〜30秒キープ、段階的に強度を上げる、痛みを我慢しない、自分のペースで、呼吸を止めない、の5点。体を温めてから行うと効果的です。運動前は動的ストレッチ、運動後や柔軟性アップは静的ストレッチと使い分けましょう。あわせて、補助種目はまずシングルセット法から、腸腰筋・握力は動作に近い種目で鍛えること、フォーストレップスは多用しすぎないことも押さえておきましょう。

参考文献・出典

※本記事は一般的なトレーニング情報です。痛みや体調不良がある場合、持病のある方は、運動前に専門家や医療機関にご相談ください。

編集長