【Q&A】筋肥大を目的とした場合、どんな筋力トレーニングが良い?回数・重量・種目を解説

Q.筋肥大を目的とした場合、どのような筋力トレーニングの方が良いのでしょうか?

まず結論として、筋肥大を目的とする場合は、8〜12回で限界がくる重量を、3〜5セット行うのが基本の目安とされています。これは「中〜高重量を、ある程度の回数こなす」設定で、筋肉に十分なボリュームの刺激を与えられるためです。インターバル(セット間の休息)は1〜2分程度を目安にします。

ここで、よく見かける「まずは神経系を鍛えろ」というアドバイスについて補足します。これがどの程度のレベルの話なのか、整理しておきましょう。

実は、比較的軽いウエイトトレーニングでも、初心者の方は普通にトレーニングするだけである程度は神経系のトレーニングになっています。経験的にご存知かもしれませんが、トレーニングを始めて間もない頃は、筋肉がさほど肥大していないのに扱える重量が飛躍的に伸びますよね。これは、神経系の働き(筋肉を動員する効率)が以前より上がったためです。初心者がトレーニングを始めると、まず神経系が適応し、筋線維が太くなる前に筋力が上がるのです。

しかし、ここで言いたい「本格的な神経系のトレーニング」とは、こういうレベルの話ではありません。極端にいえば、最大限に近い力を発揮するような、非常に高強度のものです。

そのような高強度の神経系トレーニングを、初心者が安全に行うのは現実的ではありません。本人ができているつもりでも、実際には最大限の力は出し切れていないことが多く、仮にそれだけの重量を扱えたとしても、フォームが未熟なうちは安全に実行するのが難しいからです。神経系を鍛えるトレーニングと、筋肉を肥大させるトレーニングでは、扱う重量・回数・セット数・インターバルが異なります。ですから、筋肉を肥大させたいなら、まずは前述の「筋肥大に適した設定(8〜12回×3〜5セット)」で、基本種目のフォームを固めながら着実に重量を伸ばしていくのが近道です。

Q.筋肉を発達させるためには一つの筋肉に対して何セット行うのが良いのでしょうか?

これを理解するために、「心理的限界」と「生理的限界」という言葉を押さえておきましょう。

生理的限界とは、人間が本来持っている潜在的な筋力の限界値のことです。しかし、この能力は通常すべてが使われているわけではありません。本人が最大筋力を発揮しているつもりでも、神経系の防衛機構(ケガを防ぐためのブレーキ)が働いて抑制され、一部の能力しか使えていないのです。定期的にトレーニングしている人でさえ、生理的限界の70%程度の筋力しか発揮できていないといわれます。この「実際に発揮できる上限」が心理的限界です。つまり、私たちが最大筋力だと思っているのは、心理的な抑制がかかった、実際より低いレベルの力なのです。

生理的限界と心理的限界の差には個人差があります。パワーリフティングやウエイトリフティングの競技者では、心理的限界が生理的限界の85〜90%にも達するといわれ、この差の小ささが筋力差を生みます。

ここで、有名な「ヘビーデューティートレーニング」の話を紹介します。これは元ミスターオリンピアのドリアン・イェーツが用いたことで知られる、低頻度・高強度・低ボリューム(ウォームアップ後、メイン1セットのみで1つの筋肉を追い込む)という方法です。この方法が紹介されると多くの人が飛びつきましたが、ほとんどの人は目覚ましい成果を得られませんでした。理由は、多くの人が生理的限界と心理的限界の差が大きく、1セットでは力を出し切れなかったからです。逆に、普段から長期間ヘビーに鍛えていて、この差が小さい一部の人は大きな効果を得られました。

ここから分かるのは、「1セットで最大の効果が出る人」も確かに存在するが、大半の人は1セットでは強度も量も足りないということです。だから、多くの人は数セット以上を行います。「1セットが効果的」「いや4セットだ」といった研究も、被験者の経験・神経系の発達・人数・条件が異なれば結論は変わるため、一概には言えません。前述の通り、一般的には1部位あたり3〜5セットを目安に、自分の経験レベルに合わせて調整するのが現実的です。

Q.バルクアップ種目と仕上げ用の種目では、バルクアップ種目の方が筋力アップ効果は高いのでしょうか。

結論からいうと、その通りです。『バルクアップ種目』『仕上げ種目』は、正式にはそれぞれ『コンパウンド種目(多関節種目)』『アイソレーション種目(単関節種目)』と呼びます。

名称どおり、コンパウンド種目は複数の関節を動かし、複合的に多くの筋肉を動員します。例えばスクワットなら、大腿四頭筋・大臀筋・ハムストリングスが主に働き、体幹なども補助的に使われます。一方、アイソレーション種目のレッグエクステンションは、主に大腿四頭筋だけを使います。

なぜコンパウンド種目の方が筋力アップ効果が高いのか。筋出力を高める要素には、「運動単位の動員数」「神経インパルスの発火頻度」があります。筋肉は筋線維という細い細胞の集まりで、神経細胞が「収縮せよ」という命令(インパルス)を出すと収縮します。1個の神経細胞とそれが支配する筋線維をまとめて「運動単位」と呼び、これが筋活動の基本単位です。収縮に関わる運動単位が多いほど、また発火頻度(単位時間あたりの命令回数)が多いほど、大きな筋出力が生まれます。

では、より多くの筋肉を動員し、高重量を扱えるのはどちらか。当然、コンパウンド種目です。多くの運動単位を動員し、神経系を強く活性化できるため、筋力・筋量を伸ばす土台として優れています。アイソレーション種目では、それほど高重量を扱えません。ゆえに、筋力アップにはコンパウンド種目(かつ、ある程度の高重量)が有利なのです。とはいえ、アイソレーション種目も特定の筋肉を狙って仕上げるのに有効なので、まずコンパウンド種目を中心に据え、補助的にアイソレーション種目を加えるのが効率的です。

Q.ウエイトトレーニングの時の呼吸は、鼻でするのでしょうか。それとも口でしょうか。

呼吸法はいろいろありますが、基本は力を入れるときに息を吐き、力を抜くときに息を吸うことです。例えばベンチプレスなら、バーを押し上げるときに吐き、下ろすときに吸います。

注意したいのは、呼吸を止めてトレーニングしないことです。強い力を出すときに、声門を閉じて呼吸を止め、力む状態を『バルサルバ法(バルサルバ・マニューバ)』と呼びます。この状態では腹圧が高まって一時的に大きな力を出せる反面、血圧が急激に上昇します。高重量のいきみで血圧が非常に高い値まで上がることが報告されており、高血圧や心疾患のある方、初心者には特に危険です。めまいや失神のリスクもあるため、動作中はできるだけ呼吸を止めず、息を吐きながら力を出すことを基本にしてください。(※アスリートが高重量で瞬間的に腹圧を高める高度な技術として用いる場合もありますが、リスクを理解した上級者向けであり、一般の方にはおすすめしません)

鼻呼吸か口呼吸かは、結論としてはどちらでも構いません。自然に呼吸しやすい方で行うのが良いでしょう。なお、日常生活では、ホコリや細菌をろ過する働きのある鼻呼吸が良いとされますが、トレーニング中(特に高重量時)は、素早く息を吐いたり吸ったりしやすい口呼吸が有利な場面もあります。いろいろ試して、自分が一番やりやすく、呼吸を止めずに行える方法を選んでください。

Q.ゴムチューブを利用した大臀筋を鍛える方法を紹介してほしいのですが...

今回は、ゴムチューブを使った『ヒップエクステンション』という種目を紹介します。お尻の大きな筋肉「大臀筋」を、自宅でも手軽に鍛えられる種目です。

やり方は次のとおりです。四つんばいになり、右手でゴムチューブの片側を持ちます。途中、右膝でチューブを踏んで固定し、もう片側を左足の足裏あたりに固定します。左脚を後ろへ伸ばしながら、床から持ち上げます。このとき、反動で勢いよく上げたり、上げすぎたりすると腰椎に負担がかかるので、お腹に軽く力を入れ、無理のない高さまでゆっくり上げてください。動作が終わるまで、上げている側の膝は床につけないようにします。これを繰り返します。

効果を高めるコツとして、大臀筋は「ハの字」についている筋肉なので、脚を持ち上げる際に、その走行に沿って脚をやや外側に開きながら上げると効きやすくなります。また、大臀筋は股関節の伸展(脚を後ろへ)と外旋(外側にひねる)を担うため、つま先を軽く外に向けながら行うと、より大臀筋を収縮させられます。この「股関節を外旋させる」「ハの字に脚を開く」というコツは、他の大臀筋種目(ヒップリフトなど)でも共通して使えます。腰に痛みが出る場合は中止し、無理のない範囲で行いましょう。

まとめ

筋肥大には、8〜12回で限界がくる重量を3〜5セット行うのが基本。多くの筋肉を動員し高重量を扱えるコンパウンド種目を中心に据え、アイソレーション種目で補うのが効率的です。1セットで十分な人は少なく、多くは数セット必要なこと、初心者はまずフォームと基本種目で着実に伸ばすことも大切。呼吸は止めず(バルサルバ法は血圧急上昇の危険)、力を入れるときに吐きましょう。痛みや持病がある場合は無理をしないでください。

参考文献・出典

※本記事は一般的なトレーニング情報です。高血圧・心疾患などの持病がある方、痛みや体調不良がある方は、運動前に医師や専門家にご相談ください。

編集長