レモンを摂ると骨が強くなる?クエン酸が骨密度に役立つ理由と食べ方・栄養を解説

レモン

柑橘系の代表格であるレモンは、食卓の添え物からジュース、サプリメントまで、私たちの生活のあらゆる場面に登場します。抗酸化作用による若返り効果や体調を整える栄養成分が含まれていることはご存じの方も多いでしょう。

実は、そんな身近なレモンに骨を強くする=骨密度を支える働きがあることが、近年の研究で明らかになってきました。レモンに豊富なクエン酸という栄養成分が、カルシウムの吸収を助けて骨の健康維持に役立つというのです。特に閉経後の女性にとって、これは知っておきたい朗報です。この記事では「レモンを摂ると骨が強くなるのか?」という疑問に、クエン酸が骨密度に役立つ理由・効率的な食べ方・組み合わせたい栄養まで、研究データを交えてわかりやすく解説します。

レモンが抗酸化作用による若返りや体調を整える有効成分が含まれている食材として重宝されているのはご存じの方も多いことでしょう。そんなレモンですが、摂取することで骨を強化する効果が期待できることが近年になって分かってきました。

このことは、県立広島大学のレモン健康科学プロジェクト研究センター(センター長:飯田忠行教授)をはじめ、サッポロホールディングス・ポッカサッポロフード&ビバレッジ・大妻女子大学などの研究グループによって明らかにされてきたレモンの効果のひとつです。レモンを摂取することで骨密度の維持・向上が期待できるため、骨密度の低下が気になる方、特に閉経後の女性には朗報と言えるでしょう。

特に女性の方は要注意、骨密度と女性ホルモンの関係

一般に男性より、女性の方が骨密度の低下が問題視されています。これは骨密度と女性ホルモン(エストロゲン)が深く関わっているからです。

骨は一見すると変わらないように見えますが、実は古い骨が壊され、新しい骨が作られる「骨代謝」を絶えず繰り返しています。この骨代謝のバランスを保つ重要な役割を担っているのが、エストロゲンです。たとえるなら、骨は「常に建て替え工事が行われているマンション」のようなもの。エストロゲンは「現場監督」として、古い部分を壊しすぎないようにブレーキをかけてくれています。ところが閉経によってエストロゲンが急減すると、ブレーキが外れた状態になり、骨を壊す働きの方が上回ってしまうのです。

女性は成人後、毎年1%弱の割合で骨塩量(骨の中のカルシウム、リンなど)が減少し、閉経期以降では毎年3〜5%の骨塩量が減少すると言われています。これは閉経前の3〜5倍のスピードで骨が弱くなっていく計算になります。このまま骨塩量が減少し続けるといわゆる骨粗鬆症(こつそしょうしょう)になってしまい、骨の中身がスカスカな状態になってしまいます。骨粗鬆症になると、屋内の軽い転倒であっても、いとも簡単に骨が折れてしまうことがあります。

特に高齢者の場合は、骨折によって筋力の低下や気力の低下を招き、そのまま寝たきり状態になってしまうことも珍しくありません。まさに高齢者にとって転倒というのは命取りになりかねないのです。一度、骨粗鬆症になってしまうと、元のような骨密度に戻すことは困難だと言われています。そのため最善の方法は、骨密度がこれ以上低下しないように、早い段階から予防を心掛けていくことが大切になります。若い世代であっても、過度なダイエットによって栄養不足に陥り骨密度の低下を招く可能性がありますので、女性の骨粗鬆症の予防策は早すぎるということはありません。

レモンを摂取することが骨の強化に繋がる?クエン酸が骨密度に役立つ理由

レモンが骨密度を支える|クエン酸とカルシウム吸収の関係

骨の密度を上げるためには、カルシウムが効率的に骨内に吸収されることが大切になります。県立広島大学の研究チームをはじめとする調査によると、レモンに含まれているクエン酸はカルシウムが体に取り込まれる際の手助けをしてくれる作用を持っているそうです。

クエン酸とは、レモンを食べたときに酸っぱく感じる元となる栄養成分のこと。実はこのクエン酸には「キレート作用」という特別な働きがあります。例え話で説明すると、こんなイメージです。カルシウムはそのままだと水に溶けにくい状態で、腸から体に取り込まれにくい性質があります。クエン酸はそのカルシウムをぐるっと包み込んで、「水に溶けやすい小包」の形に変えてくれます。その小包の形になることで、小腸からスムーズに吸収されるのです。

このメカニズムは、サッポロホールディングス・ポッカサッポロフード&ビバレッジ・大妻女子大学家政学部食物学科の共同研究によって、日本農芸化学会2017年度大会で発表されました。研究では、クエン酸が「キレート作用」によってカルシウムの可溶性(水への溶けやすさ)を高め、小腸からのカルシウム吸収を促進していることが示唆されています。さらに、県立広島大学・県立安芸津病院との共同研究では、カルシウム約350mgとレモン果汁30ml(レモン1個分)等を配合した飲料を中高年女性が1日1本・6か月間継続摂取したところ、摂取3か月後に骨密度が有意に増加したと報告されています。

この研究では、骨を壊す細胞(破骨細胞)のマーカーが摂取によって減少しており、クエン酸のキレート作用でカルシウム吸収が促進され、血中カルシウム濃度が保たれたことで骨からのカルシウム供給が抑えられた、と考察されています。つまりクエン酸が豊富に含まれているレモンは、日常の食生活の中で身近でありながら、骨密度の低下を防ぐ作用が期待できる優れた果物と言えるのです。

しかし、日々の食生活で酸っぱいレモンを十分に摂取することは簡単ではないと容易に想像できると思います。なので、いかに効率的にレモンに含まれている有効成分(クエン酸)を摂取するかを工夫する必要があります。レモンはメインの食材にしにくい面があるので、他の料理との付け合せ的な位置付けでなるべく食卓を飾るように工夫していくことが大切になります。

レモンとカルシウムを効率よく組み合わせる4つの食べ方

クエン酸はカルシウムと一緒に摂って初めて骨密度への効果を発揮します。次のような組み合わせを意識すると、毎日無理なく続けられます。

1つ目は、小魚との組み合わせです。しらすやちりめんじゃこにレモンを絞るだけ。ご飯にのせれば、カルシウムとクエン酸を同時に摂れる手軽な一品になります。実際の研究でも、しらすにレモン果汁を加えるとカルシウムが溶け出しやすくなることが報告されています。

2つ目は、乳製品と合わせる方法。ヨーグルトにレモン果汁を少し加えたり、ホットレモンに牛乳を足した「レモンミルク」もおすすめです。

3つ目は、焼き魚への添え物として。鮭やサバなどカルシウムが摂れる魚に、輪切りレモンを添える定番の食べ方です。レモンには魚を軟らかくし、生臭さを抑える働きもあります。

4つ目は、ドリンクで継続摂取する方法。レモン水やレモネードなら、忙しい朝でも手軽に取り入れられます。

このようにレモンはカルシウムを多く含む食材と組み合わせることで、骨密度の改善効果を期待することができます。

レモン摂取で気をつけたい「酸蝕歯」のリスク

ただし、レモンを毎日摂取する際に注意したいのが、歯への影響です。レモンの酸は歯のエナメル質を溶かす可能性があり、これを「酸蝕歯(さんしょくし)」と呼びます。予防のためには、レモン水を飲んだあとに水で口をすすぐ、ストローを使って歯への接触を減らす、飲んだ直後の歯磨きは避ける(エナメル質が柔らかくなっているため)、といった工夫が有効です。

骨粗鬆症予防はレモンだけに頼らず「3本柱」で

レモンは骨の健康をサポートする優れた食材ですが、それだけで骨粗鬆症が防げるわけではありません。次の3つを組み合わせることが効果的です。

1つ目は適度な運動。骨は負荷がかかるほど新しい骨が作られやすい性質があります。ウォーキングや軽いジョギング、階段の上り下りなど、自重がかかる運動が有効です。

2つ目は日光浴によるビタミンD合成。ビタミンDはカルシウムの吸収に不可欠な栄養素で、日光に当たることで皮膚で作られます。1日10〜15分程度の日光浴を意識しましょう。

3つ目はバランスの良い食事。カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウム、たんぱく質――骨の材料となる栄養素は1つではありません。極端な制限ダイエットは避けましょう。

よくある質問

Q1. レモンの皮にもクエン酸は多いのですか?

レモンのクエン酸は主に果汁に多く含まれます。皮には香り成分や食物繊維といった栄養が多く含まれるため、皮ごと使う料理(はちみつレモン、レモンの蜂蜜漬けなど)にすると栄養を無駄なく摂れます。なお、皮ごと使う場合はノーワックス・防カビ剤不使用のレモンを選ぶようにしてください。

Q2. レモン果汁と生のレモン、どちらが効果的ですか?

クエン酸の摂取という観点ではどちらでも構いません。ただし市販のレモン果汁は加熱処理されているものが多く、ビタミンCはやや減少している可能性があります。手軽さを取るか、フレッシュさを取るかでライフスタイルに合わせて選びましょう。

Q3. クエン酸サプリで代用してもいいですか?

サプリも選択肢の一つですが、まずは食事から自然に摂るのが基本です。サプリだけに頼ると、レモンに含まれる他のビタミンやポリフェノールなどの相乗効果を取りこぼしてしまいます。

Q4. どれくらい続ければ効果がありますか?

骨代謝は緩やかな変化なので、最低でも数か月単位の継続が必要です。前述の研究でも、効果がみられたのは摂取から3か月後でした。1日や1週間で骨密度が変わることはありません。「習慣にする」という気持ちで取り組んでください。

まとめ

レモンに含まれるクエン酸は、キレート作用によってカルシウムの吸収を助け、骨密度の維持に役立つことが研究で示されています。特に骨密度低下のリスクが高まる閉経後の女性にとって、レモンとカルシウムを意識した食生活は強い味方になります。ただし効果を実感するには、カルシウム豊富な食材と組み合わせて継続的に摂取することが鍵です。運動・日光浴・バランスの良い食事という「予防の3本柱」と組み合わせることで、より確かな骨の健康維持が期待できます。今夜の食卓に、レモンを一枚添えるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献・出典

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