危険が伴うストレッチ-頚椎編-|首を痛めるNGストレッチと安全な動かし方

ストレッチ,危険

普段、私たちが何気なく行っているストレッチの中には、危険を伴うものや、効果が疑わしいものがあります。それらを知らずに繰り返すことで、いつのまにか体を痛めたり、かえってスポーツのパフォーマンスが低下したりすることがあります。

ひと昔前まで皆が当たり前のように行っていたストレッチの中にも、現在では「危険」として多くの専門家が警告しているものがあります。今回は、とくに注意したい頚椎(首)のストレッチについて紹介します。

まずは頚椎の構造を理解しよう

頚椎のストレッチの注意点

頚椎は脊柱(背骨)の一部で、基本構造は胸椎・腰椎と同じく、立方状の骨(椎骨)が7つ連なってできています。頭部に対して頚椎はやや後方にあり、頭の重心はこめかみあたりにあるため、頭は自然な状態では前に傾こうとします。

ちなみに、成人の頭の重さは約4〜6kgもあります。このため、頭を支えるうえで最も重要なのが、頭部の後ろ側にある首〜背中の筋肉(頭が前に傾かないように支える筋肉)です。頭部の後ろには、僧帽筋という比較的大きな筋肉や、頭板状筋頸板状筋、頭半棘筋といった細長い筋肉があります。日常生活で頭をまっすぐ保っていられるのは、無意識のうちにこれらの筋肉が常に働いているからです。

しかし、猫背やストレートネックなどの前傾姿勢になると、首の後ろの筋肉に日常的に過剰な負担がかかります。すると慢性的な筋疲労となり、やがて肩こりや首の痛みの原因になっていきます。スマホやパソコンの長時間使用でこの姿勢が続くと、頚椎のカーブ(生理的前弯)が崩れ、椎間板への負担から頚椎の変形につながることもあります。

頚椎の危険なストレッチ

首には、僧帽筋をはじめ、胸鎖乳突筋、頭半棘筋、頭板状筋頚板状筋前斜角筋中斜角筋後斜角筋など、様々な筋肉があります。一方、首の前面には、後ろ側のような大きく強い筋肉はありません(細い舌骨下筋群などはありますが、頭を支える主役ではありません)。なお、首の前にあると思われがちな胸鎖乳突筋は、実際には首の側面についています。

危険なストレッチ(首を後ろに反らす)

頸椎の構造

頸椎の構造

首の前面には頭を支える大きな筋肉がないため、写真のように首の前面を伸ばそうと頭を大きく後ろに倒すストレッチは、伸ばす対象が乏しく、ストレッチとしての意味があまりありません。それどころか、首を深く後ろに反らせる動作は、頚椎に負担をかけ、頚椎椎間板ヘルニアや変形性頚椎症(頚椎が変形する状態)のリスクにつながることがあります。

また、頚椎は胸椎や腰椎と違って、動きを止める大きな突起(ストッパーになる構造)が少ないため、斜め後ろに反らせる動作が、とくに危険といえます。首を反らせたときにめまいやしびれを感じる場合は、すぐに中止してください。

危険なストレッチ(首を斜め後ろに反らす)

危険なストレッチ

最も危険な動きは、むやみに首をグルグル回すこと

首の基本動作は、屈曲(前に倒す)・伸展(後ろに倒す)・側屈(横に倒す)・回旋(左右にひねる)です。これらを複合した動作、すなわち「首をグルグル回す動作」を連続して行うのは、とくに注意が必要です。

前述のとおり、頚椎は構造上、斜め後方へ反らす動作が最も危険です。首をグルグル回すと、その回転の途中で、自然とこの「斜め後ろに反らす」局面を通過してしまうため、知らないうちに危険な動きをしていることになります。

もし首をほぐしたいのであれば、グルグル回すのではなく、動作はごくゆっくりと、前に倒す(屈曲)→横に倒す(側屈)→反対側へ横に倒す、という程度にとどめ、首を大きく後ろや斜め後ろに反らさないようにするのが安全です。アゴを軽く引きながら行うと、首の後ろの筋肉をやさしく伸ばせます。いずれも、痛みや違和感のない範囲で、呼吸を止めずに行いましょう。

※ 首や肩に痛み・しびれ・不快感がある方は、必ず整形外科を受診し、医師や専門家の指示に従って運動を行ってください。とくに、腕や手のしびれ、力が入りにくい、首を動かすとめまいがする、といった症状がある場合は、自己判断でストレッチを続けず、早めに医療機関にご相談ください。

まとめ

頚椎は7つの椎骨からなり、約4〜6kgの頭を首の後ろの筋肉が支えています。首の前面には頭を支える大きな筋肉がないため、首を大きく後ろ・斜め後ろに反らすストレッチは効果が乏しいうえ、頚椎ヘルニアや頚椎症のリスクに。とくに首をグルグル回す動作は危険な局面を通るので避けましょう。首をほぐすなら、アゴを引いてゆっくり、反らさず横までに。痛みやしびれがあれば整形外科を受診してください。

参考文献・出典

※本記事は一般的な運動情報であり、診断・治療に代わるものではありません。首や肩に痛み・しびれ・めまいなどの症状がある方は、自己判断でストレッチを行わず、整形外科などの医療機関を受診してください。

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