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Q.「5METSで70m/分のスピードで運動する場合、トレッドミルの傾斜は何%にするか」という問題があるのですが、どのように求めれば良いのですか?
この問題を解く前にMETS(メッツ)とは何かを理解しなければなりません。
メッツとは運動によるエネルギー消費量が安静時の何倍にあたるかというものです。
例えば3METSの運動というのは『安静時代謝の3倍のエネルギー消費が伴う運動』という意味になります。
ここでもう一つ理解していただきたいのはMETレベルと酸素摂取量のレベルは比例関係が成立し、それを数字に表すと1MET(安静時代謝)=3.5ml/kg/分 になるということです。次に下記に記した『歩行時や走行時の酸素摂取量を求める公式』をご覧になってください。
●歩行:(分速50~100m)
A=分速×0.1 :(水平成分)
B=分速×1.8×%(斜度) :垂直(鉛直)成分
C=3.5 :安静時成分
●走行:(分速134m~)
A=分速×0.2 :(水平成分)
B=分速×0.9×%(斜度) :垂直(鉛直)成分
C=3.5 :安静時成分
歩行時や走行時の酸素摂取量や代謝量を求めるためには各要素(A~C)の和をもとめなければなりません。もっとも、平らな道を歩く、走るといった場合にはBの計算式は必要ありませんが….
ここで、着目していただきたいのは分速101~133mはどうなるのか?ということです。分速101~133mという速度は歩く、走るといった区別が非常に難しいポイントなのです。つまり、人によっては歩けるという人もいれば、走らざるをえないという人もいるということです。
ですからすでに問題がおかしいということがご理解いただけると思います。
通常、NSCAやHFIでは分速101~133mは取り扱わないはずなのですが....
それでは問題を解いていきましょう。
とりあえず、120m/分を歩行とみなした場合で計算してみましょう。
先ほどの公式に再び、登場してもらいます。
●歩行:(分速50~100m)
A=分速×0.1 :(水平成分)
B=分速×1.8×%(斜度) :垂直(鉛直)成分
C=3.5 :安静時成分
問題で斜度(傾斜)はいくらになるのか?と問われているので
取りあえずA、B、Cをそれぞれ計算しなければなりません。(先ほどもいったようにここで斜度がいくらかという記載がなければBを計算する必要はありません)
まず、Aから求めて見ましょう
分速120m/分×0.1=12 ml/kg/分となります。
つまり、分速120m/分で歩いた場合の酸素摂取量は12 ml/kg/分ということです。
次にBをちょっと飛ばし、Cを求めて見ましょう。求める必要はありませんね(^o^)
C=3.5 ml/kg/分つまり安静時の酸素摂取量は体重1kgあたり1分あたり3.5mlということです。
ここで、AとCを足して見ましょう。12 ml/kg/分+3.5 ml/kg/分となるので合計15.5ml/kg/分となります。
これで安静時成分と水平成分の和(酸素摂取量)が求められました。
あとはこのときの垂直(鉛直)成分を求めれば良いだけです。
ここで公式Bに登場してもらいます。
B=分速×1.8×%(斜度) :垂直(鉛直)成分
分速は代入すれば良いだけですが、このままでは肝心な斜度を求めることはできませんよね。
ですから斜度をXとします。
B=分速120m/分×1.8×X%(斜度) :垂直(鉛直)成分
となります。
ここで問題の
「5METS」というところに着目していただきます。
さきにも申し上げたように1MET(安静時代謝)=3.5ml/kg/分となります。
つまり、言い換えれば5METSは酸素摂取量で表現すると17.5ml/kg/分ということになります。
先ほど水平成分(A)と安静時成分(C)の和を求めているので
17.5ml/kg/分-12 ml/kg/分+3.5 ml/kg/分の差(酸素摂取量)がBの酸素摂取量ということになります。
つまり2ml/kg/分がBの酸素摂取量ということになります。
Bの斜度を求めるにはBに酸素摂取量を代入してください。
2ml/kg=分速120m/分×1.8×X%(斜度) :垂直(鉛直)成分
となります。これを計算していくと216X=2となり
X=0.0092という結果になります。
これに100を掛けて%で分かりやすく表現すると0.92ということになります。
つまり
の答えは1%弱(0.92%)となります。
先にもいったようにこの結果は、分速120m/分という速度を歩いてると定義した場合です。
走っていると定義した場合は当然計算結果が違ってきます。
それでは分速120m/分という速度を走っていると定義した場合で計算してみます。
●走行:(分速134m~)
A=分速×0.2 :(水平成分)
B=分速×0.9×%(斜度) :垂直(鉛直)成分
C=3.5 :安静時成分
Aから求めて見ましょう。120m/分×0.2=24 ml/kg/分
問題で5METSでといっているのでA+B+Cの酸素摂取量は17.5ml/kg/分ということになります。
おや、Aの酸素摂取量が17.5ml/kg/分を上回ってますね(^o^)
ということは出題者はどうやら分速120m/分を走行としてではなく、やはり歩行として解いてもらいたかったようですね。
Q.トレーニング関係の資格を取りたいのですが、何を取るのが一番良いのでしょうか?
どの資格が良いのかというのは今後、あなたがどんな方向性で活動していくのかによっても異なると思います。
例えば日本の公共施設、民間スポーツクラブなどで活動していきたいと考えるのであれば健康運動指導士が良いと思います。
僕はそれほどこの資格が価値があるとは思わない(全然難しくないからです)のですが取得しておくと就職などにやや有利になるはずです。
他の資格でも良いとは思いますが、日本においては今のところ健康運動指導士が高い位置にあるようです。
もし、あなたが資格を取るのであれば就職に有利なもの、取得する価値の高いものが良いと思います。はっきりいって日本の資格の中には価値なんかほとんどない資格は山ほどあります。
あえて名前はいいませんがお金さえ払えば誰でも取れてしまう資格が多いのが現状です。
そういう点でいえばACSMのHFIやNSCAのCPTは少しは価値があるのではないでしょうか?
それなりに勉強しないと取得できないと思います。
しかし、資格をとったからといってそれで全てOKというわけではありません。(取得していてもたいしたことない人だって山ほどいます)資格をどう生かすかはやはり本人次第だと思います。
Q.ACSM-HFI、NSCA-CPTの受験に役立つ書籍があれば教えていただきたいのですが...
関連書籍を列挙します。
●ACSMには
『運動処方の指針』運動負荷試験と運動プログラム 南江堂 3,675円(税込み)
●NSCAには
『ストレングストレーニング&コンディショニング』12,600円
『CPT受験ハンドブック』5,500円
『CPT模擬問題集』(ビデオ問題付き)4,000円
はNSCAジャパン事務局で販売しているものですから書店などでは出回ってはいません。
詳しくは協会にお問い合わせください。
ただ、これらの書籍は試験の最後の仕上げに行うものと考えた方が良いかもしれません。
NSCAにしてもACSMにしても独自の見解、指針などがありますから、書籍はそれらを見極めるものと思ってもらえば良いのではないでしょうか?
まだ、時間があるのなら、『健康・運動指導者のためのフィットネス基礎理論(改訂版)』『新・図解 機能解剖学』『フィットネス指導者のためのザ・ワークブック』をみっちりやっておけば大丈夫だと思います。
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