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Q.胸郭を広げるトレーニングってありますか?
肺の外側にある胸郭は12個の胸椎、12対の肋骨、1個の胸骨からなっているのですが、特殊なスクワットやプルオーバーを行うことによって肋骨から胸骨に至るまでの肋軟骨を引き伸ばすことができます。
この結合組織を伸ばすことによって胸郭の体積が大きくなります。
結果、胸郭の上にある大胸筋をはじめとする種々の筋肉が引き伸ばされ胸囲が増すのです。
一般に18~19歳以上になると胸郭を広げるのは不可能といわれていますが、30、40歳であっても根気良く続けることによって増やすことはできます。(若い年齢なら軟骨が柔らかいので6ヶ月くらいで、胸囲を20cmも増すことができるといわれています)
広く大きな胸郭を持つことは胸囲を広げるのにとても有利です。
今回はブレッシングスクワットと呼ばれる胸郭を広げるためのトレーニング方法を1つご紹介したいと思います。
■ブレッシングスクワット
- 用いる重量は自分の体重以下にします。
- 肩幅よりやや広めにシャフトを握り、僧帽筋上部にバーベルをかつぎます。
バーベルをかついだらラックからはずし、バランスをとりながら後方に下がります。 - できるだけ大きく息を吐き、できるだけ大きく息を吸い込むというイン・アンド・アウト呼吸法を3回行い、3回目に大きく息を吸って止め、スクワット動作に入ります。
立ち上がる際に(スティッキングポイトを越えてから)息を吐きながら立ち上がります。
その後、先の呼吸パターンを繰り返し、12~15レップほど
ブレッシングスクワットを行います。(これを数セット行う必要があります)
Q.通信販売などで売られている、腹筋を鍛えるローラーについて教えてください。
その前に腹直筋の構造について少し説明したいと思います。
腹直筋(ふくちょくきん)は胸骨から恥骨につながる細長い筋肉です。
腹直筋の主な働きは体幹部(たいかんぶ:身体の胴体のこと)の屈曲(前屈)です。
腹直筋を鍛えるためには寝転んだ状態からおヘソを覗き込むように上体を起こさなければなりません。
しかし、両肘が両膝に触れるほど上体を起こしてはいけません。
これでは腹直筋を使った体幹部の屈曲(前屈)動作というよりも、むしろ股関節屈筋(腸腰筋、大腿直筋、縫工筋など)を使った股関節の屈曲動作になってしまうからです。
腹直筋は厳密にいうと0°の姿勢(寝転んだ状態のこと、つまり直立姿勢ということ)から25°の屈曲動作に関与しているので、ここを鍛えるには肩甲骨(けんこうこつ)が床面から少し離れる(25°)程度で良いのです。(ちなみに腹直筋は30°の伸展動作から0°への屈曲動作にも関与しています。(フィットネス基礎理論、体幹部の構造についてを参照してください)
腹筋ローラーを用いた運動動作は体幹部の屈曲動作というよりむしろ股関節の屈曲動作に近いといえます。
つまり、あの動作では腹直筋を鍛えるというより、腸腰筋、大腿直筋、縫工筋を鍛える運動になってしまっているのです。
問題は腸腰筋(大腰筋、腸骨筋の総称)の一部である大腰筋(だいようきん)は大腿骨から腰椎につながっている筋肉なので、あのような動きをしてしまうと腰椎が過剰に引っ張られ、結果、腰を痛める可能性が出てくるのです。(加えて身体を伸ばす動作を行う時に、腸腰筋が伸張性収縮してしまっているというのも問題です)
この動きは股関節を伸ばしたままの腹筋運動と動きが類似しています。(※「腹筋運動で腰を痛めないようにするためには股関節を曲げた方が良い」というのは腰椎に負担を掛けないようにするためです)
結論をいうと...
あのエクササイズは腰に対し、とてつもなくストレスを与える種目です。
現在、過去において腰を痛めた方、トレーニングを定期的にやっていない方、高齢者、は腹筋ローラーを使用しない方が良いと思います。)
Q.バック・エクステンションを行っているときに、あまり反らすと良くないと聞いたのですが。
背骨の正式名称は脊柱です。この脊柱は椎骨(ついこつ)と呼ばれる円柱状の骨が積み重なってできています。それらの椎骨がバラバラになってしまわないように、靭帯や筋肉などが補強しているのですが、椎骨の棘突起(きょくとっき)と呼ばれる部分が重要な役割を果たしています。
棘突起は脊柱の後ろ側にある突起なのですが、この棘突起の存在があるからこそ脊柱の安定性は保たれるのです。
しかし、バックエクステンションを行う際に、あまりハイパーエクステンション(過伸展)状態になってしまうと棘突起が圧迫され、椎間板の変性が生じたり、棘突起が圧迫骨折することがあります。
もし、この棘突起を圧迫骨折してしまったら、脊椎分離症や腰椎のすべり症などが生じ、ひどい痛みが伴うようになります。
これらを未然に防ぐためにもあまり腰を反らさないように心掛けましょう。
Q.ピリオダイゼーションって何ですか?
ピリオダイーゼション(ペリオダイゼーションということもある)というのは一年を通じ、運動強度に強弱のリズムをつけてトレーニングを行う方法のことです。
ピリオダイゼーションの内訳として、準備期、鍛錬期、試合期、移行期などがあります。(専門書によっても少々異なります)
①準備期
全面的な体力向上を重視します。トレーニングにおいてはトレーニング強度を比較的弱く、トレーニング量を多めに行います。
この時期は自分の体力的レベルを知覚する必要があるので、各体力要素の測定を行う必要があります。
また、トレーニングについての知的理解度を高める努力も必要です。
②鍛錬期
この期間はトレーニング強度を高めに行います。
しかし、段階が進むとともに量を少なくしなければなりません。つまり、強度を上げるにしたがい、反比例して運動量を下げて行くということです。
さもないと、オーバーワークに陥りやすく、また怪我をする可能性が高くなってしまいます。
また、鍛錬期は更に筋肥大段階、筋力強化段階、パワー強化段階の3段階に分類できます。
(1) 筋肥大段階
重量は8~12RM、レップ数は8~12回。トレーニング量は多めに行います。
(2) 筋力強化段階
重量は5~6RM、レップス数は5~6回。トレーニング量は中程度にします。
(3) パワー強化段階
重量は2~4RM、レップス数は2~4回。トレーニング量は少なめに行います。
③試合期
トレーニングの成果を安定して維持する期間です。トレーニングにおいてはスキルトレーニングを重視する必要があります。
また、試合にのぞむにあたっての態度や、意志力の高揚と安定を図る大切な時期でもあります。
④移行期
積極的回復(トレーニングの中断ではなく、心身のストレスが解放できる程度の負荷でトレーニングする)を目的とする期間のことです。
次のシーズンに向けての調整期間と思えば良いでしょう。
Q.EMSを使用すると筋力が高まるのですか?
人の意思で最大限の筋力発揮をしようと思っても、実際には最大能力の70%程度の力しか出せないといわれています。
これは生理的限界、心理的限界と呼ばれているものです。
生理的限界とは人間が本来持っている、生理的能力です。
一般の人は最大限の力を発揮しているつもりでも、その6~7割程度くらいの力しか発揮できません。
それが心理的限界です。
この心理的限界と生理的限界の差はヘビーウエイト(高負荷)のトレーニングを行うことによって縮めることができます。
また、心理的限界と生理的限界の差は電気的な刺激や他の外的刺激などによっても一時的に縮まるということは知られています。
これがいわゆる『火事場のバカ力』と呼ばれているものです。
人間は危機的な状況に直面すると、とてつもない力を出すことができるというものです。
人間は危機的な状況に直面したことによって心理的なタガがとれて、とてつもない力(本来、生理的に持っている能力)を出すことができるのです。
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