フィットネスかわら版

安全性に問題があるストレッチング 4

不良姿勢の一つである腰椎前湾症になってしまってる方の多くは腰部の筋肉が著しく固くなってしまってることが多いようです。
そこで腰部のストレッチとしてしばしば用いられるのがヨガでいう『鋤(スキ)のポーズ』と呼ばれるストレッチです。
このストレッチは腰背部を中心とした複合ストレッチとして用いられるのですが危険を伴うストレッチとして知られており、近年ではあまり実施されることはないはずです。

鋤(スキ)のポーズ

鋤(スキ)のポーズ

もし、未だに実施している方がいるのであれば今すぐに止めた方が良いと思います。

頚椎の構造

まず、問題なのが写真を見てもお解かりいただけると思いますが、実施の際に頚椎への負担がかかりすぎるということです。
頚椎は胸椎、腰椎と同様に椎骨が連なった構造をなし、それを靭帯が支えることで脊柱の保持ができ、筋肉が働くことで脊柱を保持、可動させることができるのです。
ところが頚椎は胸椎や腰椎とは異なり特有の特徴があります。
下図を見て頂ければご理解できると思いますが、頚椎は七つの椎骨で構成されているのですが、そのうちの上から一、二番目にある第一頚椎(環椎)、第二頚椎(軸椎)は他の椎骨よりも回旋動作をしやすい構造をしているのです。

第一、第二頚椎の構造

第一、第二頚椎の構造

胸椎が回旋しにくいのは肋骨が胸椎の回旋の動きを妨げるからです。
腰椎は胸椎に比べ回旋はしやすいのですが頚椎ほど回旋しません。その理由は腰椎が回旋するのは椎間板上で椎体がずれるだけだからです。ずれるだけなので特殊な形状をしている頚椎に比べ、回旋動作に限界があるのです。

鋤(スキ)のポーズがもたらす様々な弊害

このように第一、第二頚椎は回旋という動きには優位な構造をしているのですが、第一頚椎、第二頚椎がお互いにはまりこんだような形になっているため、屈曲、伸展と言う動作には極めて不利な構造になってしまっているのです。
ですから先の『鋤の(スキ)のポーズ』のような頚椎の過屈曲が起こるような動作は危険であると言えます。
指一本ほどの太さしかない軸椎に体重の重みがかかるわけですから危険以外の何ものでもありません。
更に問題なのは頚椎を深く曲げることで頚部の動脈を押しつぶす恐れがあります。
頚椎の動脈が頭蓋骨の中に入る際、環椎の椎骨動脈溝や横突孔を通過するので頚椎を過度に屈曲させると頚部の動脈が押しつぶされて頭部へ血液が流れにくくなります。
仮に頚動脈が圧迫されなかったとしても『鋤(スキ)のポーズ』を行うことで重力の関係で物凄い量の血液が頭蓋骨内に流れ込むことになるので人によっては気持ち悪くなるばかりか、動脈が破裂したり恐れもあるのです。(特に脳の動脈が硬化している人や動脈瘤がある方などは要注意です)
それでは『鋤のポーズ』用いずに安全で効果的に腰背部のストレッチを行う方法はあるのでしょうか?

腰背部の安全なストレッチ

ダルマストレッチ

ダルマストレッチ

左記のストレッチは俗に『ダルマストレッチ』と呼ばれるストレッチです。
身体を丸めることで腰背部のストレッチになるのですが、効果的に行うためには実施の際になるべくお腹の筋肉を収縮させるようにしてください。
通常、表の筋肉が収縮状態にあるときにはその真裏の筋肉は伸張状態になります。
そして実施の際に意識して表の筋肉を収縮させることで真裏の筋肉がより弛緩するようになります。
これを俗に相反性抑制(そうはんせいよくせい)といいます。
この反射作用を用いることで安全にそして効果的に腰背部の筋肉を伸ばすことができるのです。

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当サイトの編集長の佐藤です。
フィットネスクラブ、体育施設、大学などでトレーナーとして18年間活動してましたが、約8年前に現在の会社に就職し、現在は都内にある接骨院でカイロプラクターとして働いています。
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