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- 肩関節のトラブルを防ぐために ローテーターカフを鍛えよう! -肩関節周囲炎-
肩関節にまつわるトラブルが沈静化し、肩の痛みが日常生活に支障のない程度にまで回復したら、リハビリ法も次の段階に進める必要があります。
肩の安定化を図るには『コッドマン体操』『コノリー体操』や『壁伝い体操』だけでは十分と言えません。
既にご存知の方も多いと思いますが、筋肉は表層部と深層部の二層に分かれ、関節の安定性を図るためには取りわけ後者の深層部の筋肉を鍛えることが大切だと言われています。
深層部の筋肉は俗に『インナーマッスル』と呼ばれ、文字通り、筋肉のインナー(深層)部に存在し、関節を動かすだけではなく、関節の安定性を高めるためにとても重要な筋肉です。
それに対し表層部の筋肉は『アウターマッスル』といいます。一般に我々が筋肉と呼ぶ部分はこの『アウターマッスル』を指してる場合が多いようです。
球関節の一種、肩関節の構造について
肩関節は分類上、股関節と同じ球関節(きゅうかんせつ)と呼ばれる関節です。
球関節とは関節窩(かんせつか)と呼ばれている凹状の関節面に凸状の関節頭(かんせつとう)が中にすっぽりと収まるような形で関節を形成しています。
股関節の関節窩は非常に深いため肩関節に比べ、安定性がある分、可動域に制限があります。
一方、同じ構造を持つ肩関節の関節窩は浅いため、安定性がない分、可動域が広くとれるのが大きな特徴です。
この特徴故に肩関節は不安定になりやすく、トラブルを起こしやすい場所なのです。こうならないようにするためには日頃からインナーマッスルを鍛え、肩関節の安定化を図る必要性があるのです。
肩関節の周囲にある『インナーマッスル』を『ローテーターカフ(回旋筋腱板)』と呼びます。
ローテーターカフとは棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の総称した呼び名で腕を様々な方向に動かすだけでなく、肩と上腕骨を結びつける役割も担っています。
ある意味、ローテーターカフは靭帯を補助するような働きを担っているのです。
ローテーターカフが弱化すると肩関節が不安定になるので四十肩をはじめとする肩関節の様々な障害が発症するようになります。
因みに通常のウエイトトレーニングでアウターマッスルを鍛えることはできても肩関節のインナーマッスル(ローテーターカフ)を鍛えることはほぼ不可能です。
なので、ローテーターカフを鍛えるにはわれわれが通常行うウエイトトレーニングではなく、よりスペシフィック(特異的)なエクササイズを行う必要があります。
ローテーターカフを鍛えるための様々なエクササイズ
1. エンプティカンエクササイズ
エンプティカンエクササイズは主に棘上筋を鍛えるエクササイズです。
四十肩、五十肩になってしまう方の多くはこの棘上筋の働きが弱化してしまっていることが多い傾向にあります。
棘上筋が弱化すると手を真横に挙げる動作を行うときに棘上筋よりも三角筋や僧帽筋を使用するようになります。
この結果、肩甲骨の関節窩から上腕骨の骨頭がずれるようになるので、これが原因でインピンジメント症候群に繋がります。
(写真1)ファーストポジション
(写真2)セカンドポジション
- 足幅を肩幅程度に広げます。
- セラバンドの端を足で踏みつけ固定し、もう片方を握ります。
- 肩が挙がらないようにセラバンドを側方にひきあげます。(40~50°くらいまで)
- 運動中は終始親指が下を向くように心掛けます。
- 以後、これらの動作を必要回数行います。
2. エクスターナルローテーション
エクスターナルローテーションは主に棘下筋、小円筋を鍛えるエクササイズです。
四十肩、五十肩になる方の多くは肩と上腕骨を結びつけている筋力が弱くなってる方が多いのですが、特にこの結びつきを強めている筋肉が棘下筋、小円筋です。
(写真1)ファーストポジション
(写真2)セカンドポジション
- セラバンドを柱などに結びます。このときできるだけセラバンドは自分の肘の高さに結びつけるようにします。
- セラバンドの端を握り、腕を体幹に固定し、肘を90°に曲げます。
- 肘の角度を90°に保ちながら腕を外側に捻じるような動作を行います。
- 以後、これらの動作を必要回数行います。
3. インターナルローテーション
インターナルローテーションは主に肩甲下筋を鍛えるエクササイズです。
肩甲下筋はローテーターカフの一種ですが、先に述べた棘上筋、棘下筋、小円筋ほど弱化することもほとんどないのでこの種目を行う必要はあまりないかもしれません。
(写真1)ファーストポジション
(写真2)セカンドポジション
- セラバンドを柱などに結び付けます。このときできるだけセラバンドは自分の肘の高さに結びつけるようにします。
- セラバンドの端を握り、上腕を体幹部に固定し、肘を90°に曲げます。
- 肘の角度を90°に保ちながら腕を内側に捻じるような動作を行います。
- 以後、これらの動作を必要回数行います。
ここで紹介したエクササイズは比較的軽い重量を用い、高回数行うようにしましょう。
運動動作が楽に出来るようになったら他のウエイトトレーニング同様、用いる重量を多段階的に重たくする必要があります。
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