腰に負担の掛からない腹筋運動の行い方

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

一昔前の腹筋運動というと股関節、膝関節を真っ直ぐに伸ばしたまま、足首を誰かに抑えてもらって上半身を持ち上げるというものでした。

腰を痛める腹筋運動

(写真1)ファーストポジション

腰を痛める腹筋運動

(写真2)セカンドポジション

しかし、このやり方だと腹筋を鍛えるというよりも股関節の運動になってしまっており、しかも、腰椎にとてつもなく負担がかかります。そのことが知られて以来、特に理由がない限りやってはいけないエクササイズの一つになりました。
次に腹筋運動は股関節、膝関節を屈曲させたまま上体を起こすという『シットアップ』というエクササイズにとってかわりました。

先の腹筋運動とは異なり予め股関節、膝関節を屈曲させることで股関節の屈曲筋である腸腰筋、大腿直筋の働きを抑えることができるので腰椎に負担をかけることなく安全に腹筋運動ができるからです。

しかし、実際は『シットアップ』を行ったとしても腰椎に負担がかかります。

▼シットアップ

シットアップ

(写真1)ファーストポジション

シットアップ

(写真2)セカンドポジション

腰痛を予防する目的で『シットアップ』をしているにも関わらず、却って腰を痛めてしまう方があとを絶たないため、次に『クランチャー』(またはカールアップ)という腹筋運動が実施されるようになってきました。
確かに『クランチャー』の方がシットアップに比べ腰椎に負担のかかりにくい種目であることは間違いありません。

▼クランチャー

クランチャー

(写真1)ファーストポジション

クランチャー

(写真2)セカンドポジション

しかし、近年、更に研究がすすみ『シットアップ』と『クランチャー』の両者を比較すると『クランチャー』の方が安全性は若干は高いものの、やはりこの種目もまた腰椎に負担がかかるエクササイズだということが判明しました。
それではいったいどのようなエクササイズが腰椎に負担のかからない腹筋運動なのでしょうか?

椎骨の構造

そもそも腰椎に負担がかかりすぎるというのはどういうことを指しているのでしょうか?
脊柱の構造はこれまでにも何度か述べてきたとおり椎骨と呼ばれる立方状の骨が積み重なった柱構造をしています。

脊柱の構造

脊柱の構造

椎骨の椎体と椎体の間には椎間板と呼ばれる軟骨が存在し、それがあることで脊椎の滑らかな動きが可能になるのです。
脊柱に縦方向の圧縮力が加わると椎体と椎間板に圧縮力が加わります。

このとき、脊柱の生理的な湾曲がきちんと出来ている方は問題ありませんが、脊柱の湾曲が消失(腰椎の前湾)してしまっている方は縦の圧縮力がダイレクトに伝わってしまうので他の人よりも椎間板が潰れやすく、また椎間板ヘルニアを起こしやすくなります。
また、高齢者で骨粗鬆症になっている方では骨が脆くなっていることもあるため縦方向への圧迫力が加わると椎間板よりも椎体に負担がかかることがあります。このことが原因で椎骨が骨折してしまうことがしばしばあります。
これを脊椎圧迫骨折といいます。高齢者の方でたまに見られる背骨が折れ曲がったようなひどい猫背になってしまった方は過去に圧迫骨折をしている可能性が高いと思われます。
(*一般に脊椎圧迫骨折は胸椎と腰椎の移行部 の椎体に生じやすいと言われています)

シットアップは股関節、膝関節を屈曲させていようがいまいが椎間板や椎体に強い圧縮力が加わる恐れがあります。

椎間板に掛かる圧縮力

椎間板に掛かる圧縮力

クランチャーは腸腰筋、大腿直筋の関与が少ないため椎体、椎間板の圧縮力が小さいように思われますが、実は先のシットアップとそれほど変わりありません。
それではなぜクランチャーでも腰椎の圧縮力がかかるのでしょうか?

それは上半身を起こす時に腰椎を屈曲させすぎているため運動中、腰椎にかかる圧縮力が椎間板、椎体前側に偏ってしまっているからです。(二つある図の内の下の図を参照してください)
これらのことから椎体や椎間板に偏った負担が掛からないようにしながら腹筋を活動させるためには腰椎の自然な前湾を保ったまま腹筋運動をする(二つある図の内の上の図を参照してください)必要があります。そのためにはどのような腹筋運動を行えば良いのでしょうか?

腰椎に負担を掛けないようにする腹筋運動の行い方

まずは膝を立てて仰向けに寝ます。その後、自分の両手のひらを腰椎の反りの部分に差し込み(あるいはタオルを折りたたみ腰に差し込む)腹筋の力を使って上体を起こします。上体を上げる角度は肩甲帯が床から少し軽く離れるくらいにとどめておきます。

腰を痛めにくい腹筋運動

(写真1)ファーストポジション

腰を痛めにくい腹筋運動

(写真2)セカンドポジション

このように行うことで例え腹筋運動を行ったときの腰椎の圧縮力を軽く抑えることができます。
また、両手を腰に差し込んだまま行うので腹筋運動でありがちな、頚椎を痛めることもありません。
皆さんも是非、この方法で腹筋運動を行ってみてください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • follow us in feedly

運営者情報


当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
フィットネスクラブ、体育施設、大学などでトレーナーとして18年間活動してましたが、約10年前にカイロプラクターとして第二の人生を歩み出しました。
そして2016年4月に第三の人生を歩み出しました。

ページ上部へ戻る