タバコの吸いすぎには要注意!タバコと急性心不全の関係

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タバコ,急性心不全

心筋障害、あるいは狭心症(きょうしんしょう)、心筋梗塞(しんきんこうそく)などが特にあるわけでもないのに、突然心臓が停止してしまうということが時折あります。
これはいわゆる『急性心不全』と呼ばれるもので、心臓が止まってしまった直接の原因は不明で、とにかく心臓が止まったという事実しか判明することができなかったというものです。
しかし、近年、医療の発展と伴にこの『急性心不全』を起こす原因が少しずつ明らかになってきました。

※ 急性心不全とは傷病名ではなく『心臓の働きが不十分な結果、心臓が停止してしまった状態』のことをいいます。

タバコの吸いすぎには要注意!タバコが急性心不全の要因になることも

筋肉の温度(深部筋温)が上昇するとその熱を体外に放出しなければならないので我々は汗をかきます。このとき『汗腺』と呼ばれる器官が活動することで汗をかくことができるのです。この汗腺が活動するためには、汗腺の周りの血管を拡げなければなりません。

この時、血管の拡張を手助けするのが『キニン』と呼ばれる物質です。
運動を行うと『キニン』が汗腺の周りにしみ出して、それにより血管を拡張させ、汗や熱を体外に放出させることができるのです。
その後、キニンは血液と共に静脈経由で一端心臓に戻り、肺動脈を通ってキニンが肺内に入るとそこで役割を終え破壊されます。
しかし、もし肺内でキニンが破壊されなかったとしたら、動脈に入ったキニンが動脈や細かい血管(毛細血管)を拡張させてしまい、急激な血圧低下(ショック状態)を招いてしまうことがあります。
本来はそうならないような仕組みになっているのですが、常習的にタバコを吸っている方はこの限りではありません。
ご存知のとおりタバコは『ニコチン』『タール』などをはじめ、実に数百種の有害物質を含んでいて、これらの有害物質により肺機能は著しく低下してしまってます。
つまり、喫煙者ほど肺の機能が低下してしまっているので、肺内でキニンがうまく破壊できず、相当量のキニンが動脈や毛細血管に流れ込んでしまうのです。
これにより血圧は急激に低下し、最悪の場合、ショック状態に陥り、死んでしまうこともあります。
昔、『喫煙によってどの程度血圧が低下するのか?』という実験を試みた運動生理学博士がいたのですが、その実験の内容は下記のようなものでした。
『タバコを普段吸っている10名の被験者に固定式の自転車を10分程度漕いでもらい、その後、血圧を測定する』という内容です。
実験結果によると10名中、実に9名までもが血圧が低下してしまったそうです。
なかでも被験者の一人、Aさんは実験開始当初の最大血圧が126mmhg、実験終了直後は150mmhgあったのですが、実験終了5分後には最大血圧がいっきに62mmhgまで下がってしまったそうです。
手術中にもし最大血圧が70mmhgを切ったとしたら大騒ぎになるのでこの血圧の急激な低下がいかに危険な状態だったのかというのは容易にお解かりいただけると思います。

血液中の遊離脂肪酸が増えすぎてしまうことによる様々な弊害

今度は血液中に脂肪(遊離脂肪酸)が増えすぎると心不全を起こしてしまう可能性があるという話しをしたいと思います。
血液中に遊離している脂肪を俗に遊離脂肪酸(FFA)と呼び、これはウォーキング、ランニングなどに代表される有酸素運動を長時間行うことにより血液中に多量に発生します。
本来、遊離脂肪酸は心臓のエネルギー源の三分の二を占めているといわれるとても重要なエネルギー源なのですが、心臓の機能が低下している時には却ってこれが心筋毒となってしまい心臓を止めてしまうことがあるのです。
ある医師は論文で『心臓の機能が著しく低下している時に、血液中の遊離脂肪酸が過剰に増えるとショック死を引き起こす可能性がある』と発表しています。
更に『その可能性は中高年になるほど高くなる傾向がある』とも発表しています。
それではなぜ、青年より中高年の方がショック死を起こしやすくなってしまうのでしょうか?
そこにはどうやら青年と中高年の『遊離脂肪酸の分解能力』の差が影響しているようです。
一般に加齢になればなるほど遊離脂肪酸の分解能力は低下していってしまいます。
遊離脂肪酸の分解能力が低下してしまうと血液中内に発生した遊離脂肪酸をうまく利用することができなくなってしまうので、中高年の方だとこれが起因となって心臓が止まってしまうことがあるそうです。

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当サイトの編集長の佐藤伸一(さとうしんいち)です。
都内でトレーナーとして約20年活動し、その後、カイロプラクターとして約10年活動していました。
現在はフリーランスで活動していて主に健康や運動に関する情報を発信しています。

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